『藝人春秋2』と『藝人春秋3』

2021年03月18日 文春文庫から刊行された水道橋博士の新刊『藝人春秋2』と『藝人春秋3』を読んだ。 元は『週刊文春』に連載された人物評の形をとったエッセイである。2012年に刊行された単行本『藝人春秋』に続いて、その続編となる『藝人春秋2』が2017年…

映画『あの頃。』を見て

2021年02月19日 劔幹人さんの原作を映画化した『あの頃。』を公開初日に観てきた。とてもいい映画でした。 ぼく自身は劔さんより18歳年上で、この映画で描かれているアイドルオタクたちよりはかなり古い世代になる。ただ、アイドルを好きになる衝動は不変の…

酒エッセイ「マニタ酒房」やってます

ぼくは2014年から2015年にかけて、セガ社が運営していた会員制SNS「it-tells」に酒エッセイ「酔ってるス」を連載していた。「it-tells」終了後、その酒エッセイが読まれない状態にあるのは惜しいので、当時の責任者に許可をいただき、多少の加筆訂正を加えた…

2020年に見た映画

今年見た映画(新旧問わず)を一覧にしてみた。全部で116本。いまは仕事で映画評などを書く機会がほとんどないので、あくまでも趣味で一年間に見た本数としては、まあまあ多い方だろう。 ぼくは劇場のスクリーンで映画を見ることにこだわらないし、コロナの…

さらば宅八郎

2020年12月3日 宅八郎の訃報を知った。ご家族の話ではどうやら8月に脳出血で倒れ、そのまま還らぬ人となったらしい。 彼はミニコミ『東京おとなクラブ』のスタッフだった人で、本名を矢野守啓という。ぼくは同時期に刊行されていた歌謡曲ミニコミ『よい子の…

番号は謎

2020年09月29日 数字と番号は違う。ぼくは数字を見ると頭痛がしてくるタイプだが、番号だけは昔から大好きだった。初めて買ってもらったミニカーのボンネットに、大きな白い丸と黒い数字で「09」なんて番号が書いてあると、いつまでもそれを指でなぞっていた…

川沿いのタイトロープ

2020年08月15日 ぼくの住む町に、1本の小さな川が流れている。いまはほとんど在宅で仕事をしているが、神保町まで通勤していたときは、毎朝、その川沿いの道を歩いて駅まで向かっていた。 少し前、その川縁に柵ができた。 これがその柵 等間隔に並ぶポール…

ブックオフ大学ぶらぶら学部

2020年08月08日 『ブックオフ大学ぶらぶら学部』(岬書店)を読んだ。ブックオフ好きな8人による偏愛エッセイ、および漫画である。 表4にある値札のデザインが素晴らしい えーっ、おれも呼んでよー! というのは正直あるが、そんなことを言ってるとキリがな…

港のヨーコの港

2020年07月18日 ぼくはレコードコレクターだが、集めているのは原則として7インチ(いわゆるシングル盤)だけ。 なぜ、7インチを偏愛しているかというと、それがもっとも「好きな曲を所有している感じ」がするからだ。この気持ち、わかってもらえるだろうか…

娘との20年

2020年07月16日 娘が二十歳になった。 2011年に女房を亡くしたとき、娘はまだ小学5年生だった。それからぼくが男手ひとつで……と言えばかっこいいのだろうけれど、幸いなことに母も姉も同居していて子育てを助けてくれたし、遠方に住む義理の姉と妹、妻の親友…

ぼくのアメコミはどこから

2020年07月04日 ツイッターで「#あなたのアメコミはどこから」というハッシュタグがまわってきて、自分のアメコミへの興味は何から始まったのだろうか? と考えた。はい、嘘書いた。考えるまでもなく、1978年創刊の『月刊スーパーマン』であることはわかって…

新型コロナ音頭

2020年07月03日 拙著『レコード越しの戦後史』でも書いたことだが、日本人というやつは何か歴史的な出来事や事件があると、すぐにそれをレコード(CD)にする。オリンピック、万博、東京タワー。ぼくは珍盤コレクターなので、そうしたレコードやCDは手当たり…

東京のご当地麺とは?

2020年06月26日 日本人は麺好きで、うどん、そば、ラーメンを初めとして、全国各地に「ご当地麺」と呼ばれるものがある。何かにつけてコレクター的アプローチをしてしまうぼくは、好物の麺類においても例外ではない。これらのご当地麺をリストアップして、エ…

ブックオフをたちよみ!

2020年06月23日 2019年の4月いっぱいでマニタ書房を閉めてから、近頃とんとブックオフには行かなくなってしまった。そりゃそうだ。なにせ本を仕入れる必要がなくなってしまったから。 個人的にはいまも古本を集めるのは好きだし、ブックオフという場所にも愛…

サタデーナイト怪謡曲

2020年06月13日 ドーナツ盤が約90枚入ったバッグを肩から提げ、四谷までやってきた。朝からあいにくの雨で、傘をさしながらの移動はなかなかしんどい。アナログでDJをやってる以上、これは避けようがないことなので諦めているが、腰痛持ち&痛風持ち&非力な…

ブックオフツアー銚子編

7年ほど経営していたマニタ書房を2019年の4月末に閉店して以来、古本の仕入れツアーをすることはなくなっていた。ぼくが古本の仕入れといったら、それは「ブックオフめぐり」であることは、とみさわ昭仁を知る人ならばわかっているはず。 閉店後も個人的な…

全力で歩く

『世界陸上』を盛り上げるための番組を娘と見ていた。その中で「競歩」の映像が映った。 競歩というのは不思議な競技である。走らず、止まらず、ひたすら歩く。何をもって競歩とするのか、そこには思いのほか複雑なルールがあるようだが、簡単に言えば「常に…

特別公開『1978〜2008☆ぼくのゲーム30年史』第1回

昨日の『1978〜2008☆ぼくのゲーム30年史』の連載第0回「はじめに」の公開に続いて、今日は第1回「見返りのないおもしろさ」を公開します。 これは第1章「ゲームとの出会い」の、その1に相当する部分で、ぼくが初めてテレビゲームと出会ったときのことで…

特別公開『1978〜2008☆ぼくのゲーム30年史』第0回

現在、ぼくが「水道橋博士のメルマ旬報」に連載している『1978〜2008☆ぼくのゲーム30年史』は、タイトルが示すように、ぼくがテレビゲームと出会ってからの30年間を振り返る自分史です。現時点で第5回まで掲載されています。 誰が読んでもおもしろいものに…

住宅地のロック魂

その店は、自宅と最寄駅の中間あたりにある。郊外の住宅地にたたずむ、これといって特徴のないブティック。 いや、ブティックというほどお洒落でもないか。ご婦人向けの洋服と小物を中心に扱う店。チラとのぞいた感じでは、男性に向けた商品はなさそう。その…

柴尾英令氏の旅立ちを見送る会

ライター、ゲームクリエイターの柴尾英令くんが急逝したのは4月2日。ぼくよりひとつ年下で、まだ55歳の若さだった。 同業であり、友人でもあった彼との別れを惜しんで、「さよなら柴尾くん」という短文を書いたのが4月の12日。それをお互いが連載している『…

5月18日下北沢で「日本列島蒐集計画」やるよ!!

拙著『無限の本棚〈増殖版〉』(ちくま文庫)の発売記念に、山下メロさんの『ファンシー絵みやげ大百科』(イースト・プレス)の発売記念をプラスした、二人のトークイベント「日本列島蒐集計画」が5月18日に開催されるよ! bookandbeer.com 二人が知り合っ…

「サンドイッチの具で飲む会」開催のお知らせ

先日、サイン会ツアーで神戸を訪れた際に、新開地という酔っ払いの天国のような街で昼酒を楽しんだ。同行してくれたのは、そのツアーのきっかけを作ってくれた四谷荒木町にあるスナックアーバンのママ。 行きつけのスナックのママとプライベートで昼から飲む…

さよなら柴尾くん

以下の文は、メルマ旬報 vol.153のために書いたものですが、ぼくと柴尾くんの共通の友人でメルマ旬報を購読していない人にも読んでもらえるよう、ブログにも掲載します。 ----------------------------------------------------------------------- 柴尾英令…

「CRAZY GROOVE DONUTS vol.28 せんべろ古本トリオ SPECIAL」

タイトル長いよ! 春のトーク&サイン会ツアーのラストは、4月17日に東京へ戻って来ての千駄木Bar Isshee。毎月第二火曜にやってるCRAZY GROOVE DONUTSにせんべろ古本トリオの仲間である安田理央さんと柳下毅一郎さんをゲストに迎えて、トーク&DJというスタ…

「あれコード、それコード、だれコード」

4月15日、関西方面の最終日は神戸でロック漫筆家の安田謙一さんと「あれコード、それコード、だれコード」と題したトークイベントをやるよ。どういうレコードか厳密には決めてないけど、お互いが集めている変なレコードを持ち寄って、おしゃべりしながら聴い…

おおかみ書房vsマニタ書房「東西エロ本大戦争!!」

4月14日はもうひとつ。西九条から難波へ移動して、夜はなんば紅鶴でもトークショーをやるよ。こちらは「東西エロ本大戦争!!」と題して、おおかみ書房の劇画狼さんとお互いのエロ本ネタの見せ合いっこだ! 劇画狼さんのエロ劇画スライドトークは爆笑の鉄板ネ…

「自分の本棚」〜自分が読みたい本は自分で作ろう

春のトーク&サイン会ツアー、2日目の4月14日は大阪の西九条へ移動して、ミニコミ、リトルプレス、CD、衣類など、おもにインディーズ出版物や雑貨を扱うセレクトショップ・シカクでトークをするよ。 こちらは自費出版物を多く扱っているお店ということなので…

五っ葉文庫とマニタ書房の「痕跡本の歩き方」

さて、来週のトーク&サイン会ツアーの演目を、今日からひとつずつ紹介していこう。まずは一週間後、4月13日に愛知県の犬山にあるキワマリ荘で開催する「痕跡本の歩き方」から。 「痕跡本」というのは、犬山の古書店・五っ葉文庫の店主である古沢和宏さんが…

フリー禁煙セラピーはじめました

ぼくは16歳から(フハハ!)ずーっとタバコを吸い続けてきた。 40歳のとき、子供ができたのをきっかけにしてタバコをやめようと思ったのだけど、多くの禁煙失敗者の例に漏れず、なかなか禁煙できなかった。固い意思でやめると決意し、タバコの箱を握り潰した…