本当の意味での謎本

謎本(なぞぼん)というジャンルがある。ルーツは1992年。当時、飛鳥新社の腕利き編集者だった赤田祐一氏が、『磯野家の謎』という本を作って大ベストセラーとなった。その後、各社から『磯野家〜』のスタイルをまねた類似本が続々刊行されたことで、これらは「謎本」という新ジャンルとなっていった。
でも、最初の赤田氏の本が成功したのは磯野家、つまり「サザエさん」という題材が絶妙だったからで、その後に他社から出てきたものは、単なる人気漫画の小ネタ集のような内容でしかなく、そんなもんではマンガマニアのような“濃い”ひとたちが満足するはずもなく、だんだん尻すぼみになっていって、いつのまにか謎本というジャンル自体が自然消滅していった。まあ無理もないだろう。
個人的には、謎本というのはマンガ・オタク方面ではなく、事件・犯罪方面へ進むべきだったんじゃないかなー、と思っている。
こういう感じでね。

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