ホタテマン顔負け! 凶願の格闘家

真の強さを求めて (武田撰書)

真の強さを求めて (武田撰書)

護身闘真流拳法七段をもつ著者による自叙伝。とはいえ、牛尾氏はプロ格闘家でもなければ、文筆を本業としているわけでもない。そのため自身の半生を起伏に富んだ筆致で書く技術には欠けていたようで、本書はわずか87頁の非常に薄いものとなっている。

だが、しかし! 本書の価値は厚さなどではない! 本書の真価は、その“熱さ”にあるのだ! 牛尾氏が自らの言葉で綴った、あまりにも激烈な生き様にあるのだっ! どっせーいっ!!

牛尾氏は1961年、神奈川県に生まれた(おれと同い年……)。物心ついたときから負けん気が強く、朝から晩まで喧嘩喧嘩であけくれる日々を送っていた。勝負を挑むのは喧嘩相手に対してだけではない。小学生にしてすでに自分の限界を知ろうとしていた牛尾少年は、己れの肉体に向けても勝負を挑んでいた。砂浜で右足にベンジンをぶっかけ、火をつけ、その状態で走りながら前方宙返りをする。常人には狂気の行動に見えるかもしれないが、この苦行を乗り越えることで男の肉体に「魂」がはいるのだ。当然のように右足は大火傷を負うが、それもまた男の勲章だ。

中学に入学すると、いきなりAからHまである8クラスすべてに乗り込んでいって、生意気な奴は片っ端からシメていった。いきなり過ぎるそのわけを、本人はこのように言っている。

相手と仲良くなってしまう前にどちらが強いか決着を付けておかないと、情が生まれ甘い人間になってしまうと思った。

なんと苛烈な生き方! なんとデンジャラスな中学生!

このようにして、喧嘩、喧嘩、勉学、喧嘩、喧嘩、仕事、喧嘩、仕事、喧嘩、恋愛、喧嘩、仕事、喧嘩、子育て、仕事、喧嘩〜みたいな壮絶な生き方を貫いてきて、ようやく会得したのが「心技体の一番上の心、魂を鍛えることこそ一番大切」であるという真実なのだった。

男の道をつらぬきたいひとは必読。

おまけ:最初の頁をひらくと、タレントの安岡力也氏と著者とのツーショット写真が出迎えてくれるのだが……。

あの強面で知られるホタテマンよりも、牛尾氏のほうが100倍ぐらい強そうじゃないか!

ぐっふっふっふ……。