心揺さぶられるピンクフラミンゴ

先日、神田の古本まつりへ行ったときに入手した一冊。すずらん通りにズラリと並んだ特売ワゴンを、駿台下から九段下方向へ順繰りに見ていって半分を過ぎたあたりで発見。ジャケを見た瞬間に時が止まった。こういうタイトルの本に、こういう写真をセレクトするセンスに打ちのめされた。

一本足柔道―Flamingo‐Style Judo (知柔会講話 (第4集))

一本足柔道―Flamingo‐Style Judo (知柔会講話 (第4集))

誰かが発明した新しい競技のガイドブック、というわけではない。それは「はにかみ柔道」だ。

こちらは、長年、愛知県の教育現場で柔道を指導してきた著者による、至極まっとうな随筆集である。井上康生だったり、篠原信一だったり、あるいはイチローだったり、その他たくさんの人々の“心の強さ”をテーマとして書かれている。そのなかの一篇が、第五回世界マスターズ柔道大会で著者が目撃した、一本足の選手が「ひざ車」という技で一本勝ちしたときの感動的な場面を記した随筆で、表題にもなっている「一本足柔道」なのだ。

本書が全231頁あるうち、当の「一本足柔道」はわずか8頁のもので、しかもこの本なぜか全編英訳が併記されているので、実際には4頁しかない。そんな小篇をあえて本の表題に持ってきているのは、この著者がどれだけこのエピソードに胸を打たれたかの証でもあるだろう。おかげでわたしもこんな素晴らしい本と出会うことができました。