涼宮ホウヒの憂鬱

ごめん。いいタイトル思いつかなかったんだ。
今日はこんな本を紹介しよう。はい、表紙どうぞ。

『ガス・おなら恐怖症からの脱出/日本自然療法研究会編』(日正出版)
前にさあ、下北沢の定食屋でメシ食ってたら、宮川大助・花子の私生活を紹介する番組をやってたのね。そん中で女性アナウンサーが変なこと言ったんだよ。大助・花子のこれまでの苦労話をいくつか紹介したあと、本来なら「と、このような苦労を経て……」と言うべきところで、丁寧語を意識しすぎたのか「苦労を経られて」って言っちゃったんだ。へられて! 字で書くと伝わらないかな。でも、食事中ふいに耳に飛び込んできた「へられて」っていう音は、かなり違和感があったんだよ。ああいう場合は普通に「苦労を経て」だけでいいと思うんだけどな。あるいはもう少し丁寧に言うなら「経てこられて」かな。「へられて」は会社で上司が会議中におならをしたときに言う言葉だよね。「安田部長はいつも会議中に屁られてますよねー」みたいな。天皇陛下がおならしたときは「屁こき召されて」かな。
そんなことはどうでもよろしい。『ガス・おなら恐怖症からの脱出』の話だったね。おれはあんまりおならをしないのでピンとこないけど、よく出る人にとっては切実な問題だと思う。「恐怖症」ってのはあながち冗談でもない。
便秘や下痢のように、内臓の不調と直結している病であれば、薬を飲むなり、食事療法を取り入れるなり、対処のしようもある。そもそもおならが出ること自体は病気ではなく、むしろ健康の証なのだ。しかし、“人前でおならをしてしまうかもしれない恐怖”というのは精神の病だから、対処するのは簡単じゃない。

 我慢するのが良くないとわかっていても、そうするしかないというこの刹那さ(原文ママ)は、言葉では表すことができないでしょう。本気で死を考えた人、学校や会社に行けなくなってしまった人、苦しみに耐えながら日々を送る人、おならが恐くて、仕事も勉強も恋愛もできない。
(中略)
 おならごときで、あなたの人生をつぶすわけにはゆかないのです。前向きに今の苦しみから脱出して明るい日々を送りましょう!

本書では、ハーブやミント油、善玉ラクリス菌、生姜、ビール酵母などといった、おならの出を軽減させるための食品の紹介にかなりのページを割いている。それはそれでありがたいことだと思うのだが、先にも書いたように「おなら恐怖症」というのは実際に出る出ないではなく、「出るかもしれないことを恐れる病気」であるから、出ないようにするだけではなく、出ることを恐れなくなる“前向きさ”を授けてくれる内容であるべきじゃないかと思うのだ。
巻末におまけで「誰にもバレない! すかしっ屁テクニック集」とか、「出ちゃっても安心☆ナイスな言い訳いろいろ」とか、そういうのが欲しかったよ。