ゴージャス姉妹の「おねえさま」として知られる叶恭子さんは、1999年に自分の華麗なる過去と人生哲学について、『蜜の味』という本に書き記している。タレント本にはあんまり興味のないおれだけども、恭子さんがゴージャス姉妹としてタレントデビューするにあたってポイ捨てされた元亭主がこの本を読んだところ、あまりにも自分に都合良く過去を改竄している様子に激怒して、お前がそんな本書くんやったらワシも真実をブチまけたるわーい!(推測)と対抗して出版したのが、今日紹介する『シーザーの憂鬱』だ。こっちは、やっぱり読まないわけにはいかないよねえ。
『シーザーの憂鬱 “ゴージャス姉妹”叶恭子の捨てた猫/佐藤茂+シーザー』(モッツ出版/2000年)
著者名は「佐藤茂+シーザー」となっている。佐藤さんはもちろん元亭主そのひとのことなんだけど、シーザーというのはなんだろか?
そう、これは恭子さんが家を出るときに亭主と一緒に捨てていった、猫ちゃんの名前なのだ。そして、この本は形式上は佐藤さんではなく“シーザーが書いたこと”になっているのだった。猫視点であるのをいいことに、自分では言いにくいことをバンバン書いている。
ママ(とみさわ註:恭子さんのこと)もお風呂が大好きで、いつも二時間は入っています。
あんまり長いので、ボクたち退屈して、ときどき、風呂場を覗きます。
すると、ママはシャワーを下腹部にあて、なんだか、ウットリして、ハアハアいってました。
とかね。
恭子さんとご亭主が別れることになって、飼われていた三匹の猫がご亭主側に引き取られる場面でも、佐藤さんは想いのタケを猫に言わせている。
ボクたち三匹は、目を見合わせ、心底、ホッとしました。全員がパパといっしょに暮らすのです。大きな問題がクリヤーされました。
だって、ママといっしょに暮らしたら、ボクたち、お風呂に入れなくなるし、猫のトイレの砂だって、取り替える人がいなくなる。
食事だって忘れられたり、遅くなったりするのです。
それを思うと、猫っ可愛がりするママでなく、いつもキチンと面倒みてくれるパパといっしょでホッとしたのです。
たぶん佐藤さんは猫になりきって書いてるうちに、だんだん歯止めが利かなくなってきたんだろうな。暴露の内容がどんどんエスカレートしはじめる。
ママの場合、セックスだけが先行開花して、異常に発達したんだニャー。
内側視索前野という機能のスイッチを入れるには、乳首への刺激が必要なんだ。それに、スキンシップだけど、このふたつはパパが毎晩励んでいたから、問題ないハズや。
ところが、マンガンが不足すると、未開発になって、セックスの方にばっかりいっちゃうんや。
マンガンって微量の九元素のことや。別名『愛情の塩』ともいわれているんや。それがないと、子供に対する本当の愛情が欠けてしまうんや。
関西弁の猫……。じゃりん子チエか!
さらにこんなことも言う。
そういえば、ママは三回も中絶してるニャー。
もうヤダ、この猫……。