い、いやぁ〜! 飲まないでえぇぇ〜!


『医者がすすめる尿療法佐野鎌太郎』(徳間ブックス/1993)
一時期、巷で流行った(ホントに流行ったのか?)飲尿療法の本である。いまさら探してみると案外ないんだよね。やっぱり思ったほどは流行らなかった(本が売れなかった)のかな。
飲尿療法というのがどういうものなのか、いまあらためてこの本を読んでみてもやっぱり信憑性が感じられなくて、これを本気で実践していた(過去形じゃなくてまさかいまでも……?)人達って、何なんだろう、と不思議に思うわけだが、とにかく本書における佐野先生は真剣そのもの。どうですか、この楽しそうなお写真は!

いや、しかし、百歩譲って飲尿になんらかの治癒効果があったとしてだよ、でも、これはいやだよ。

 その患者は、淋病の白いウミが混ざった尿を飲んだそうです。とたんに痛みが消え、ウミの出方も少なくなったそうです。そして、尿を飲みつづけることで、淋病が治ってしまったのです。

いくら自分の尿だとしても! 淋病膿入りカクテルは勘弁してほしい!
アルコール依存を治療するため、奥さんに連れられて佐野先生の病院に入院した旦那さんと先生との会話。

 そんなある日、佐野院長の診察室の前を通った夫は、診察机の上の大ジョッキに入っていた尿を見てビールと間違えて、それを所望したのです。
 夫が院長の尿を飲み乾したのちに、院長がこう尋ねました。
「どうだい、その生ビールはうまいかい」
「いやーこれはうまい、最高だ。明日も一杯ごちそうしてください」
「よし明日また一杯おごってやろう」

なんだろう、この気が狂ったドリフのコントみたいな会話は!
他にもこの本には、脱毛症を治すために小便でシャンプーする青年の話とか、腰痛で腰のレントゲンを撮ってもらったら圧迫骨折とのことでリハビリの先生から「尿を飲みなさい」って何故そこへつながるのかサッパリわからない治療法を言い渡された話とか、そんなのがテンコ盛りで飽きさせない。
あと、巻末に挙げられている参考文献リストをみてたら『尿を訪ねて三千里』という素敵すぎるタイトルの本なんかもあって、飲尿本というのは、なかなか追求のし甲斐があるジャンルなのではないかなーと思った。