新宿ション横・宝来家のコブクロ刺し

テアトル新宿で3時10分の回の『3時10分、決断のとき』を観た。こりゃ、ウワサ通りの大傑作。
小さな牧場主のオヤジ(クリスチャン・ベール)は、借金返済のために、町で捕らえられた強盗団のボス(ラッセル・クロウ)を遠くの駅まで護送するというミッションに立候補する。南北戦争のときには腕利きの狙撃兵としてならしたチャンベールだが、そのときの負傷が原因で、いまは義足の世話になっている。西部開拓時代において、身体に障害があるような男は、どうしたって一人前としてはみてもらえない。理不尽なことだけどそういう時代なんだからしょうがない。だからこそ、借金を返すため、そして息子に恥じない男になるために、生き延びる可能性のほとんどない戦いに、自ら飛び込んでいくのだ。
正義も、悪党も、どっちも素晴らしく輝いていて、ほとんど文句の付けようがない男泣きの大傑作だったわけだが、唯一欠点を挙げるとすれば、主演のチャンベールがハンサムすぎることだろうなあ。これは、カタワモノで、みんなから(家族からも)見下されているような冴えないオヤジが、戦いの中でだんだんと輝いていき、最後にはまぶしいほどの星になる物語だと思うんだけど、チャンベールはわりと最初から普通にかっこいいんだよね。集客上の理由かもしれないけど、この役はもう少し情けない顔した俳優に演ってほしかったな。ウィリアム・H・メイシーとかどうだろう。
でも、それはそれとして大好きな映画なので95点つけちゃおう。
で、映画を観たあと、のど乾いたのでしょんべん横町でもつ焼き食っていくことにする。

本当は思い出横町っていうんだけど、客はみんなションベン横町って言う。少なくともおれはそう。考えてみればヒドい名前だねえ。
で、正確にはしょん横ではなく、もう一本となりの線路際の方のやきとり横町にある宝来家がおれは好きなのだ。もちろん、ここはもつ焼きもみんなおいしいけど、それよりなにより「こぶくろ刺し」がうまいんだな。

一般的には、こぶくろ刺しといったらぶつ切りにした豚の子袋が皿に盛られて、正油ダレが掛かって出てくるものだが、宝来家のはひと味ちがう。通常よりも細かく刻んだ子袋にごま油をかけ、その上にみじん切りのネギをたっぷり乗せ、さらに洋カラシちょこっと足したものが小鉢に入って出てくる。
これに、お好みで正油をかけてわしわし混ぜると、こんなふうになる。

これがうまいー!
ホッピーがないのがタマにキズだけど、中澤裕子がおばちゃんになったようなママさんが可愛いので許す。