ジカソーテーの女王

先日、所沢のくすのきホールで開催された「彩の国 古本まつり」に行ってきた。

毎年、春夏秋冬、年に4回もやってくれるから、古本おやじにとって季節ごとの楽しみになってるんだな。こちらのリンク先で場内の写真を見てもらうとわかるけど、神田以外の古本市としてはかなりの規模だと思う。

大ホールの中に、出展者(古書店)のワゴンがずらりと並んでいる。ワゴンの中には古本が山盛り。そこに無数のお客さんがたかっている。客層のほとんどは古本ジジイだけど、女性客もちらほら。子供はあんまりいない。子供は古本嫌いなんだよね。おれもこのあいだ、娘のために小学館の『あーとぶっく』シリーズを古本で買ったら、途中のページに前の持ち主の落書きがあって、娘は愕然。「おとうさん、ふるい本はあたしに買ってこないで!」って、すげー怒られた。反省してます。

ま、そんなことはよろしい。会場内をひと通り見てまわって、5冊ほど購入した。これらの収穫はまた追々紹介していくとして、今回いちばんびっくりしたのは、丸岡書店という店が陳列していた文庫のワゴンだ。写真を見てほしい。

箱入りの文芸書がずらり……のように見えるけど、これ、すべて文庫本なのだ。ごく普通の文庫本を自分でバラして、箱入りハードカバーに自家装丁してあるんだな。おそらくそういう趣味のひとが、飽きちゃったのか、あるいは死んじゃったのかはわからないけど、一気にコレクションを放出して、古書店に流れたというわけ。

わざわざ自家装丁するんだから、それなりに希少価値のある本なのかと思いきや、まったくそうでないところがまたすごい。中には絶版書もあるだろうけど、ほとんどはいまでも普通に手に入る通俗小説ばっかり。だから、貴重な本を装丁し直して大切にしている……というよりも、純粋に装丁の過程を楽しんでいた工作趣味のひとなんだろう。あんまりおもしろいから1冊買った。315円。

どうせ買うなら、もっとも「これをわざわざやるのかよ!」的な本がいいなあと思って、ミステリーの女王先生の『紫式部殺人事件』をチョイス。この落差がいいよね。表紙はクロス張りで見事なもんだが、タイトル部分は文庫の表紙を切り出して貼付けてある。

外箱には、ワープロで出力した縦書きのタイトル文字を文庫の表紙にプリントアウトしたものを切り抜いて貼付けてある。

さらに、ここに注目!

外箱をくるんでいるのは、驚くなかれ「洋菓子のフランセの包装紙」なのだ。まあお洒落。丁寧なんだか雑なんだかよくわからない仕事ぶりが、涙を誘うね。

毎度言ってることだけど、おれは本当にいい買い物するなあ!