非常時の中のささやかな幸福

似ているものを探すためには、普段からいろんなもののイメージを記憶に入れておかなければいけない。店頭で本の表紙やビデオのジャケなんかを見たときに、「あれ? このデザインなんか見覚えがある……」と思ったら、高速で脳内検索をして、似たものどうしを合致させるのだ。

その場ではすぐに思い出せなくても、家に帰ってネットで検索することも多い。いまは似た画像の検索ができるサービスなどもあるが、精度が低くてあんまりアテにはならない。

ネットをウロチョロしていてたまたま見かけたこのビデオのジャケは、非常に簡単だったね。三角形の部分が船の舳先を連想させ、そういえば『タイタニック』のビデオジャケもこんなんだったよなーと、思い起こさせてくれた。ただ、それだけで「似てるもの」認定してしまったのでは、おもしろがる対象としては弱い気もするんだな。この程度のことだけで「似てる!」って騒いだら、世の中なんでもかんでも似てることになってしまう。

こういうことに興味がない人には、すごくどうでもいい些末な部分にこだわっているように思えるだろうけど、どうでもいいからこそ、細部の詰めが大事なんだよ。

で、下半分だけ似てるのはほぼ確信が持てたんだけど、問題は上半分にある愁いを帯びた女の人の顔だ。たしか、おれの記憶では『タイタニック』のジャケも、上半分にやはり愁いを帯びた主演女優の顔が覆いかぶさっていたような気がするんだよね。もし、その通りであれば、これはかなり密度の高い「似ているもの」を発見したことになるっ!

急いで確認してみましたね。いくらおれでも『タイタニック』のビデオなんて持ってないので、ネットに頼る。「タ・イ・タ・ニ・ッ・ク」でイメージ検索……と。

ッターーン!

出ました。ほほう、『タイタニック』は女優だけじゃなくて、ディカプリオも一緒に愁いを帯びていたのか。タイトルロゴもいい位置にあるし、これは予想以上に見事な似具合だ。

合格!