古本たずねて神戸弾丸ツアー その2

深夜バスとはいっても、外の夜景ぐらいはそこそこ楽しめるのかと思ったら、寝る人のためにずっと車内のカーテンを閉めたっきりなのな。だから真っ暗。途中、休憩で3回ほどサービスエリアに停まった以外は、いっさい外の景色が見られない。おれは休憩のたびにバスを降りてトイレに行き、簡単な柔軟体操なんかもしていたが、最初から最後までずーーっと寝ている剛の者もいた。寝ている人達をそのまま遠方へ運ぶ、というこのシステムはすごいね。新宿で寝て、目が覚めたらもう神戸。ほとんどコールドスリープに近い。

というわけで、およそ9時間走り続けたノストロモ号は、早朝の三ノ宮に到着した。神戸の空はスカーッと晴れていて気持ちいい。

今回のツアー、最大の目的は「第6回サンボーホール ひょうご大古本市」に参加することだったのだ。規模としては、神田の古本まつりや、所沢の彩の国古本市にはおよばないが、それでも地元から遠く離れた土地での古本市には、未知の魅力がある。

会場となる神戸サンボーホールは、三ノ宮駅前から徒歩で15分程度のところにある。それまでまだ3時間はあるので、とりあえずは腹ごしらえをしよう。関西に来るとつい、うどんが食べたくなるので、駅の近くで見つけた立ち食い処で、きざみうどんを注文。関西のうどんはうまいんだろうなー、とすすってみると、まるでコシのないべちゃべちゃうどんだった!


関西なのに旨くないうどん! リズム感のない黒人みたいなものかー?

立ち食いでうどんなんか食ったところで5分くらいしか時間はつぶせない。残りの2時間55分、どうする? と自問自答して、喫茶店で本でも読みながら待つことにする。なんか甘いものもほしくなって、メニューにあった「はちみつバタートーストとコーヒーのセット」を注文した。たぶん、1枚のバタートーストにハチミツがちょこっと垂らしてあるんだろう……と思ったのだけど、やって来たのはこんなやつ!


カラオケかよ!
ま、全部食いましたけどね。おかげでずいぶん時間がつぶせましたよ。

さてさて、時間もいい案配になってきたので、スーツケースだけをホテルに預け、三ノ宮の駅前からサンボーホールまで歩いていく。16年前の阪神・淡路大震災では、ここいらも大変な被害を受けたそうだけど、余所者の目にはすっかり復興しているように見えるね。高速道路の下を通るときは、あの当時の高架が崩れていた映像を思い出してちょっと怖かった。

ほどなく着いたサンボーホール。ああ、高層ビルじゃなくてよかった。入り口には10人ほどの気の早い古本ジジイが並んでいたので、最後尾に着く。ここは海辺に近く、開場を待っていると背後からびゅうびゅう海風が吹きつけてきて凍えそうになる。

会場内の平均年齢は、関東も関西もそう変わらない。なんでジジイって古本が好きなんだろう。ひとつ違うのは、けっこう賑やかなところ。関東の古本市ではみんな無言で本を選んでいるけど、こっちは連れと一緒に来て談笑しながら本を選んでいるお客さんが多いような気がする。本に話しかけてるヤバイ人もいる。ま、これは関東の古本市にもいるけどね。

結局、1時間ぐらい見て回って6冊をピックアップ。


左)発明に関する本は見つけ次第つい買ってしまう。
中)もちろん新刊でも買ってるけど、安かったのでまた買っておいた。
右)これも当時新刊で買ったが手放しちゃったので買い直した。


左)清田くんって酔うとすぐ超能力を見せる“曲げ上戸”らしいよ。
中)政子ちゃん本。そりゃ買うでしょ。
右)秘宝ムックは安く出てたら即買いする。

で、買い物を終えて、さーて次はどこへ行こうかなーと考えていたおれの前に、怪しい人影が立ちはだかった。
「とみさわさんですか?」
え? え? 神戸に知り合いはいないはずだけど、あなたはどなた? ……(その3に続く)