古本たずねて神戸弾丸ツアー その7

東京を出発するときには、単なる一人旅のつもりだった。まさか安田謙一さんに会えて、一緒に古本屋めぐりが出来て、一緒に酒を飲んだりできるとは、考えもしなかった。それが、いまはご自宅を訪問するために歩いているなんて! 心底、コレクターやっててよかったと思ったねえ。

さすがに人様のお宅なので、詳しくは描写しないけど、いわゆる重症レコードコレクターの家を想像してほしい。おれんちは古本とDVDが狂ったようにあるけど、レコードはそんなに多くないんだな。でも、ヤスケンさんちは壁が全部レコードだ。例の江川さんの家もこんなだった。

おこたに入って焼酎をロックでいただきながら、安田謙一セレクトのモンドなレコをいろいろ聴かせてもらう。これ、最高に贅沢なひとときだよな。東の常盤響、西の安田謙一ってな感じで、常盤くんのレコ部はおれもときどきネットで見てるけど、あれを現場で見てるようなもんだもんなあ。

いろいろとレコ話やコレクト話をしていると、奥様のいれめさんが何かの詰まった段ボール箱を持ってきた。

「わたしはこういうのを集めてるのよ」

おれは自分でもいろいろ集めるけど、「蒐集原人の夜」ってイベントをやるぐらいだから、他人のコレクションを見るのがものすごく好きなのね。ヤスケンさんの奥様のコレクションというんだから、つまらない物のわけがない。一瞬にして血圧が上がった。何が出てくるの!?

パンティストッキングのパッケージ出た────!!!!!

箱の中から、どさどさどさどさどさ────!!!!!

いい足写真の宝庫────!!!!!

全部でいくつあったろう? 100足どころじゃないな。余裕で200足はあったのではないだろうか。どれもちょっとレトロな商品ばかりで、写真に味わいがあって素晴らしい。でも、それだけ古い商品だから、どれもビニール袋が黄ばんでいたり、シワになっていたりするのね。これ、袋から出して新しいビニールに入れ替えるとか、ファイルに入れて整理するとか、そういうつもりはないんですか? って聞いてみた。すると、自信満々にこう答えが返ってきたね。

「この袋がいいんじゃない!」

おっしゃる通りです。さすがは、いれめさん、パネェっす。

いつまでもコレクションの話をしていたかったけれど、そういうわけにもいかない。またの再会を約束して、お宅を辞去することにした。ヤスケンさんはお土産に新刊をくれようとしたけど、そこまでしてもらっては済まなすぎるので遠慮させてもらった。友人の本は自腹切って買うことにしてるんだよ。

みんなも買ってね!

その後、三ノ宮駅前にとってあるホテルにチェックイン(夜8時以降にチェックインすると5000円という格安プラン)して、ひとっ風呂浴びてから一人で夜の街へ繰り出した。といっても、おれはオネーチャンのいる店とか苦手なので、地元のおやじが行きそうな小料理屋を選ぶ。

串カツ(ソースは自分の取り皿なので二度付け上等)でチューハイを飲り……

ブリの照り焼きで日本酒を飲って(本日6食目かよ)、いい心持ちになったところで、ホテルへと帰ったのだった。
これにて、神戸弾丸ツアー1日目は終了した。……(その8へ続く)