古本たずねて神戸弾丸ツアー その9

帰宅は夜7時に三宮花時計前から出発する深夜バス。それまで身軽にうろつけるように、三ノ宮駅のコインロッカーにスーツケースを入れる。そして身体ひとつで神戸駅へ向かう。

JR元町駅から神戸駅にかけての高架下には、元町高架下、通称:モトコーと呼ばれる商店街がある。ここには古道具屋から古本屋、中古盤屋がたくさんひしめき合っていて、一大魔窟を形成しているんだな。阪神大震災前のモトコーはおっそろしく魅力的な場所だったらしいけど、震災でかなりの店が閉店を余儀なくされた。それでも、まだまだおもしろい店は数多く残っているというので、どうしても来てみたかったのだ。

モトコーは、途中の道路でいくつかに分断されていて、元町側から神戸側に向かって「元町高架1」〜「元町高架7」まである。本来なら、「1」から見ていくべきなのかもしれないが、一気にJRで神戸へ行って、そこからモトコーを逆にたどって元町へもどってくる方が効率がよさそうだ。

というわけで、神戸駅を出るとまっすぐ元町高架7に向かう。

こんな感じの入り口。というか、こっちは出口か。「モトコー7番街」という名前がついている。
「毎日が掘り出し市でーす!!」という能天気な黄色い看板の下が商店街なのだが、どうみても魔窟。実際入ってみると、いくつものシャッターが閉まっており、ゴーストタウンと化している。これが昔からこんな感じだったのか、震災の影響によるものなのか、余所者のおれにはわからないが、ともかく「いいもん見た!」感に満ちていることは間違いない。

で、いくつか営業している店を見ていくと、これがまたとんでもない。古道具屋……と言えばたしかにそうなんだけど、そこに並んでるのは普通の骨董ではなくて、どこで拾ってきたんだかわからない鍵束とか、洗ってない感じの古着とか、明らかにプレミアゼロのソフビとか、ダビングしてラベルが手書きのAVとか、しまいにゃ剥き出しのバイブとか、とってもお洒落に荒んだ闇市状態なのだ。さすがのおれもそういう店や商品を写真に撮るのはためらわれた。財布を開くのもためらわれた。

少し進んでいくと、古本屋があった。岡書店という店だ。

無秩序な感じのモトコー7番街にあって、この整然と本が並んだ光景は美しい。古本好きでなくたって、うっとりしてしまうことだろう。品揃えの方も、意外におもしろそうな本が棚に差さっていた。ただ、モトコーにしては(笑)プレミア価格が付いていたりして、ちょっとショックだった。「猿まわし復活/村崎義正」とか欲しかったんだけど、1500円は払えねえ。

「モトコー7番街」を抜けると次は6番街なのだが、こんな名前になっていた。

「モトコータウン6 あじさいの街」。
区画ごとに名前変わるんかー! しかも看板のデザインも全然違うじゃなーい! このことを知ったあたりから、俄然、モトコーの魅力に取り憑かれはじめているおれなのだった。……(その10へ続くのさ〜)