二十世紀のおマルに

 20世紀フォックスの映画を見に行くと、上映の前に会社のロゴが表示される。ビルディングの屋上に「20th CENTURY FOX」という文字のスタチューがででーんと設置されていて、それを四方からサーチライトが照らし出している有名なアレだ。

 これが、昔っから気になって気になってチョー気になって仕方なかった。何がって、「2」と「0」のパースが狂ってることが!

 ぼくはライターになる前は製図士だったので、こういう製図的に歪みのある図形を見るとすごく気をとられてしまう。とくに20世紀フォックスの社ロゴはヒドい。もう落ち着いて映画なんか見てる場合じゃなくなる。

「2」の方はまだなんとかなっているのだが、「0」の歪みっぷりはいけない。本来なら斜め左上方向へ向かって凛々しくそびえ立っていなければならないのに、こっち(客席側)に向かってコンニチワしちゃっている。そんなにお客様に迎合しなくてもいいよ!

 その下にあるFOXの「O(オー)」は、わざとツブしたようにデザインされている文字だから、これでもいい。でも、上の「20」はそれじゃダメなんだよ! 

 で、パース的に正しいラインを引くとこうなる。

 IllustratorかCADがあればもう少し正確な作図が出来るところだが、エクセル上で平面図を描き起こして、それにパースをかけただけなので、まあこの程度でご勘弁いただきたい。

 しかし、これを見れば「2」と「0」の歪みが一目瞭然だろう。どちらも左上部分が不必要にふくらんでいる。そのせいでこちらへ向かってコンニチワしているように見えてしまうのだ。

 というようなことを、常々ぼくは映画館の暗闇の中で考えていたわけなのだが、最近はその心配はなくなっている。なぜなら、いまは手描きのイラストによるロゴは使われなくなり、コンピュータで3DモデリングしたCGアニメーションに変わったからだ。

 ほら、ちゃんとしてる。あー気持ちいい!!