1月に見た映画

おれは映画が見られるだけで幸せだから(じゃなきゃ人喰い映画300本も見てらんない)、つまんないという理由で映画を批判したりはしないし、つまんなくてもそのつまんなさを楽しんでいたりはする。つまんないことはなんておもしろいんだろう、とは早川義夫は言ってなかったけど、とにかくそういう気分で映画を見ている。

  1. SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム(1/2 DVD)★★★
    • 前作にも増して“持たざる者”の喘ぎが充満した傑作。夜になるとスクラッチの音がするという伝説の竹田岩も最高。
    • オープニングで、やる気満々のデブ(IKKU)とためらいがちのヤセ(TOM)が言い合いしながら歩いている光景って、まんまR2-D2C-3POだね。
  2. 東京暮色(1/3 早稲田松竹 小津特集にて)★★★★
    • 新年早々、なんとありがたい2本立てでありましょう。
    • ひとが生きていくかぎり、どうしたって思うようにならないことがある。そこから逃げ出すのか、乗り越えるのか、押しつぶされるのか。でも、ひとは自分の思うようにしか生きられない。
  3. 東京物語(1/3 早稲田松竹 小津特集にて)★★★★
    • 結婚して、子供が出来て、旅をして、家を持って、愛するひとと死に別れて、人生のなかで起こる様々な出来事を実際に体験してからこの映画を見直すと、若いときに見たのとはまったく違った風景が見えてくる。
    • ところで、創作物で老人のセリフを書くとき、つい「わしは〜じゃ」って書きたくなるのは『東京物語』の笠智衆広島弁が原点にあるのかもしれないな。
  4. モンスターズ/地球外生命体(1/4 DVD)★★★
    • 130万円で作られた異星人侵略映画。メキシコからアメリカへ国境越えをする男女を描くだけという思い切りのよさ。
    • モンスター同士が触手で乳繰り合ってるのを見て、自分たちもその気になる主人公の男女。
  5. 十三人の刺客(2010年)(1/4 DVD)★★
    • 残り130人!って言ってから13人が明らかに一人当たり10人以上斬ってるのに、なんで侍が全然減らないんだろう。相変わらず雑な映画を撮るひとだ。
    • 残り130人になったところで弓を使うのをやめちゃうのも気になった。正々堂々と戦うような相手ではないんだから、もっと減らしてから白兵戦にすればいいのに!
    • と一旦は思ってからさらに考えたところ、勝つために敵を減らすのは当然そうなんだけど、本来の目的は殲滅じゃなくてターゲットの松平斉韶を討つことだから、他にやりようはあるはずなんだとも思う。ゆえに戦闘開始時の役所浩司の「斬って斬って斬りまくれーっ!!」というセリフはちょっとあり得ない。
  6. AVP(1/7 テレビ朝日)★★★
    • 21時〜23時までのたった2時間しかない放送枠に「AVP」と「AVP2」を 「お得な特別編集」して一挙放送というテレ朝の暴挙。伝説が生まれる瞬間の目撃者にならんと付き合ってみたが、単にカットしまくりの2本立て興行だった。
    • 本作では、プレデターの戦士がブチ折ったエイリアンの指(から出る酸)でヘルメットに自ら戦士の称号をつけるシーンがあって、それは「プレデター」1作目でのインディアン隊員がマチェーテで自ら胸に傷つけるのと呼応していてるのだ。
    • クライマックス、エイリアンクイーンに巨大ピアスをつけるシーンが相変わらず最高だった。
  7. AVP2(1/7 テレビ朝日)★
    • 「AVP2」はせっかく「AVP」のラストで生まれたプレデアン(エイリアンでありプレデターでもある存在)の特性がシナリオにまったく活かされてないんだよね。そこをちゃんと活かせばいくらでもおもしろいシナリオが書けるのに!
  8. トライアングル(1/7 DVD)★★★
    • クリストファー・スミスのシチュエーションスリラー。
    • 同じ出来事が繰り返されるループから抜け出すには全員殺すこと、という設定に強引さはあるものの、繰り返しのずれていく様子の見せ方がうまく、ラストのまとめ方もうまい。良作。
  9. ザ・ウォード 監禁病棟(1/9 DVD)★★
    • アイドル大好きジョン・カーペンター(なにしろAKB48のPVならいつでも撮る準備はできてる! とか言ってるらしい)がノリノリで撮った女子専門精神病院ホラー。
  10. インシディアス(1/10 DVD)★★
  11. 予言者(1/10 渋谷 映画美学校試写室)★★★★★
    • 傷害で服役したアラブ系の青年が、刑務所内での派閥争いに巻き込まれるうちマフィアとしての才に目覚め、やがて自身のファミリーを形成してゆくまでの物語。痛くて、苦くて、熱くて、空虚。ジャック・オディアール監督曰く「『スカーフェイス』の対極に位置する映画を作りたかった」とのことで、その目論見は達成していると思う。映画史に残る傑作が生まれたと確信する。1月21日より公開中。必見。
  12. 「Mr.ビーン カンヌで大迷惑⁉(1/16 日本テレビ「映画天国」放映)★★★
    • Mr.ビーンの笑いは苦手だなぁと腰が引けつつも最後まで見てしまう。フランス旅行中のビーンがあちこちで撮ってきたホームビデオの映像と、ナルシスト監督(ウィレム・デフォー)の駄作フィルムが融合したとき、映画の魔が奇跡を起こして感動を誘う。
  13. コーマン帝国(1/27 京橋 テアトル試写室)★★★★
    • 三流人喰い映画を愛する者として絶対に足を向けては寝られないロジャー・コーマン大先生のドキュメンタリー。
    • 終盤、コーマンの偉業に対してアカデミー功労賞が贈られるシーンに涙。彼の生涯を肯定することは、自分の生涯も肯定されることだ。おまけにエンドロールでは、彼が撮ってきた膨大な作品群の中からとくにゴキゲンな映画の最高にゴキゲンな曲が流れて後味も素晴らしい。
  14. エルサント(パイロット版)(1/28 千葉市民会館小ホール ちば映画祭にて)★
    • あくまでもパイロット版なので評価は★。誰かこの監督さんに出資してあげて!
  15. 極東のマンション(1/28 千葉市民会館小ホール ちば映画祭にて)★
  16. マリコ三十騎(1/28 千葉市民会館小ホール ちば映画祭にて)★
    • 学食でのゲリラ撮影。なあにあれ?と冷ややかな視線で見つめる側よりは奇声を上げて裸で走り回る側の方が人生は楽しいが、まあひと迷惑な話ではある。
  17. 車のない生活(1/28 千葉市民会館小ホール ちば映画祭にて)★★
    • 脱力しつつもオチで少し笑ったので★を1個足す。
  18. アブコヤワ(1/28 千葉市民会館小ホール ちば映画祭にて)★★
    • 映画としての驚きや緊張感は目を見張るものがある。問題のラストは賛否両論あるだろう。おれは道徳心が強すぎる(と自覚している)ので受け入れられなかった。でも、この映画に力があるのは間違いない。
  19. へんげ(1/28 千葉市民会館小ホール ちば映画祭にて)★★★★
    • 深夜の発作、いきなりの痙攣に悩まされている夫。献身的に支える妻。最初は病気系ホラーのように思えた映画が「朝、起きたらいきなり虫!」でお馴染みカフカ系パニック映画になり、やがて人喰い映画になり、さらにとんでもない映画に姿を変えていく。この映画自体が“へんげ”だ。目撃必至。
  20. ハムナプトラ3(1/29 テレ朝「日曜洋画劇場」放映)★★