下北沢・ミン亭の江戸っ子ラーメン

下北沢に名店あり。その名も「萊亭(ミンテイ)」。ちゃんと漢字が表示されてますかい? へんが“王”で、つくりが“民”なんだけど標準漢字じゃないからOSやブラウザ環境によっては文字化けしているかもしれない。なので、以後はカナで書いておくんだミン。

ブルーハーツ甲本ヒロトが売れる前にアルバイトをしていたことでも有名。それにあやかってか、いかにもバンドやってそうな兄ちゃんのバイトが絶えず1人はいたりする。一階はカウンターとテーブルが少々あるだけのいかにも町のラーメンやっぽい造り。でも奥の階段を上がると二階にそこそこ広いお座敷があって、ゆっくり酒を飲んだりもできる。壁には店を訪れた数々の芸能人のサイン色紙。亡くなった古今亭志ん朝忌野清志郎もある。もちろんヒロトもある。

近頃、下北沢再開発の影響でついに取り壊しになる……という噂が流れたりしたが、まだ普通に営業している。その後、取り壊しの噂はデマだったらしいとも聞いたけど、再開発自体は着実に進行しているし、店舗もかなり老朽化しているので、いつなくなっても不思議ではない。貴重なシモキタ遺産も風前の灯か。

というわけで、昨年の暮れ。下北沢で知り合った友達と、いつなくなるかもわからないミン亭をきちんと味わっておこうと、お二階の座敷で宴会をやってきた。……と言いつつ、宴会の様子はここでは書かない。

ほどほどに飲み食いしたところで、おもむろに「江戸っ子ラーメン」をご注文だ。

ミン亭の、おそらく一番人気のメニュー。薄口しょうゆ味に細麺とほうれん草、チャーシュー。ここまではよくある東京ラーメンだ。でも、右側にはなぜかキムチ。正確には“辛白菜”という。これがなんで江戸っ子なのかよくわからないが、よくわからないのが江戸っ子というものだ。

この写真でもなんとなく感じられるかもしれないが、ミン亭はドンブリが無駄にでかい。江戸っ子ラーメンはこの程度の具だから少食のおれでも完食できるが、江戸っ子五目麺とか北海味噌ラーメンとかになるとすんごい量があって食べきれない。お金なくてロクにメシも食えない貧乏劇団員とかバンドマンには神のような店だと思う。