無理矢理たのしめ、男ランニング

両手をかるく曲げて外側へひろげ、斉藤清六みたいに内股でのったかのったか走るのをいわゆる「女走り」というが、こちらは「男ランニング」である。どんなランニングなんだ。しかも「30代から始める」なんて書いてあったりするもんだから、なんというか、中年の男どもがフンドシ一丁で頭から水をかぶり、神社の境内でひしめき合っている、まるで蘇民祭のようなスポーツかと、必要以上に誤解してみたくなる。

30代から始める男ランニング―三日坊主で終わらせない

30代から始める男ランニング―三日坊主で終わらせない

ま、実際読んでみるとそんなおもしろ珍スポーツのガイドブックであるはずもなく、大方の予想通り、30歳を過ぎて生活習慣を改善したいと思った中年男性が無理なく続けていくことのできる、初心者向けランニングのガイドブックなのだった。

本書は全五章に分かれ、ウォーキングからストレッチ、エクササイズ、食事戦略、トレーニングなどについて解説している。これも非常に残念だ。
なぜか?
せっかく本のタイトルが「男ランニング」という野次馬の興味を惹きつけるものになってるんだから、どうせなら各章の見出しも「男ウォーキングから始めよう!」とか「パートナーと手を取り合って男ストレッチ」とか「男エクササイズで汗をふり絞れ!」とか、そういうホモホモしいものにしてほしかったと思うのだ。

いやあ、そんなにおもしろいわけでもない本を、タイトルからの着想だけで無理矢理おもしろがろうとするのは、なかなか骨が折れるもんだよねえ。