せんとう開始! めぐりコンプリート

何も集めずに“情報”だけを追い求める蒐集趣味のことを、自分は「エアコレクター」と命名している。モノへの愛着ではなくて、集める行為そのものに快感を覚えるコレクターのことね。高価なコレクターズアイテムを買ったりするわけではないから、経済的な負担がほとんどない、家計に優しい趣味だ。自分がなぜそういう哲学を得るに至ったか、そのあたりのことは現在、cakesにて短期連載中なので、詳しくはそちらを読んでいただくとありがたい。

(cakes)コレクション永久機関1 ──何も買わないコレクター
(cakes)コレクション永久機関2 ──コレクションの本質
(cakes)コレクション永久機関3 ──エアコレクターのすすめ
(cakes)コレクション永久機関4 ──永遠に本を買える人生

ところで、「ねこプラ(別名:ねこの國)」というサイトがある。

ここのコンテンツには自分と似た匂いを感じるので以前から愛読者だったんだけど、その主催のNEKOPLAさんが最近作られた同人誌がおもしろい。その名も『めぐりコンプリート 〜巡り蒐集趣味の分類体系〜』という。

「めぐりコンプリート」とは、いわゆる“つぶし系”の趣味のことだ。鉄道マニアが特定の路線のすべての駅で下車する「乗りつぶし」とか、郵趣マニアが全国の郵便局で貯金していく「郵貯ラリー」とか、あるいは日本百名山を全部踏破したり、四国の札所八十八ヶ所をまわるお遍路さんなんかも、めぐりコンプリートの一種だといえる。エアコレクターと言うと、人は皆「何言ってんの?」と思うだろうけれど、めぐりコンプリートなら多くの人が無意識にやっていることなのだ。

で、いま自分が夢中になっているめぐりコンプリートと言えば、「日本全国ブックオフ支店めぐり」である。

なにしろ、ブックオフには現時点で日本全国に894もの支店がある。これを全部まわろうというのだから、我ながら呆れたもんだ。もちろん、自分はいまは古本屋を商売にしているので、ブックオフ=古本屋に行くのは仕入れ活動でもあるわけだが、気持ちとしては仕事半分、趣味半分だったりする。仕入れだけなら、都内近郊の大型支店(渋谷、池袋、秋葉原、松戸、町田などなど)を中心に巡回していればいいはずだもんね。それを、わざわざ旅費かけて大阪、札幌、名古屋まで行ったりしているのには、そういう理由があるわけよ。

現在の達成度は、全900店(すでに閉鎖された支店も含む)のうち、222店を踏破している。だいたい25パーセントぐらい。これはかなりすごいことだと思うが、でも、ブックオフの支店の多くは自分が居住している関東圏に集中しているのだから、驚くほどのことでもない。しかし、まあ自分の年齢を考えたら、死ぬまでに全店踏破は無理だろうね。500店行ければいい方だろう。

コンプリートは事実上不可能だけれど、めぐり系の趣味は他にいくつもやっている。たとえば、昭和の雰囲気を残すシブい酒場めぐりとか、東京正油ラーメンめぐりとかね。ただ、これらはあんまり夢中になってはいけない。毎晩のように酒を飲み、毎日のように塩分の濃いラーメンを食っていると確実にカラダを壊す。だから、ほどほどが肝要。

それで、健康のことを考えつつ、楽しくて、気持ちよくて、めぐりの快感も得られるようにと、最近はじめた趣味がある。それが「銭湯めぐり」だ。きっかけは、島本慶さんの新刊『東京湯巡り、徘徊酒 黄昏オヤジの散歩道』を読んでしまったから。詳しくはエキサイトレビューに書いたので、そちらを読んでいただけるとありがたい。

(エキレビ)銭湯からの、プハーッ! オヤジの快楽『東京湯巡り、徘徊酒』

結果、この本にメチャメチャ影響を受けて、早速『東京銭湯ぶらり湯めぐりマップ』なるものを購入し、銭湯めぐりを始めちゃったわけだ。これが予想以上に楽しい楽しい。しかも、この湯めぐりマップにはオマケで「お遍路巡礼スタンプノート」ってのが付いてくるのね。で、いろんな銭湯に行くたびにスタンプを捺してもらって、26浴場を達成すると「認定証」がもらえる。さらに、88浴場を達成すると「銭湯お遍路達成」の認定証と記念の銭湯バッジがもらえるのだ!

まさか、ここにコンプリートの喜びが用意されていようとは!

で、今回のエントリーは長々と何が言いたかったのかというと、そのうちこのブログに銭湯めぐりのカテゴリーが追加されるであろー、という予告なのだった。