第15湯目「熱海湯/新宿33番」

iPhoneのカレンダーに登録しておいた銭湯の住所を頼りに、神楽坂の坂を(ヘンな表現)トコトコとあがっていく。時刻は午後7時。しかも金曜日。週末の夜を楽しもうと浮かれたカンジの人々が道を行き来している。自分も早く一杯やりたいところをグッと我慢して、先を急ぐ。

iPhoneGPSって精度がアマいからさー、ときどき目的地がズレてたりするんだよね。この日も、マッピにピンが立ってるところまで来たのに銭湯がない! 「湯めぐりマップ」に記載されてる地図を見直してみるが、これもそんなに細かく地図ではないので、正確な位置がわかりづらい。困ったなーと何本かの路地をウロウロしてるうちにビルのひらけた一角があり、そこから煙突が見えた! 一本新宿寄りの狭い道の方に、今回の目的地「熱海湯」があったのだった。

入浴料450円を番台で支払い、服の下にコスチュームを着てくるのを忘れたスーパーマンのようにズバアッと全裸になり、浴場のガラス戸を開ける。すると正面には富士山。最高。

いつものように、湯に浸かる前に洗い場で全身を洗う。カランのお湯はかなりぬるめだ。その後、湯船に右足から入ろうとしたら、熱い! ものすごく熱い! こんなに熱い銭湯は初めてだ。いいトシして「アツ!」とか声出しちゃった。壁に取り付けられた温度計の針は「43度」を指し示してるけど、絶対壊れてるよ!

しゃあないからケロリンの桶を持ってきて、湯船のお湯を少しずつかぶって熱さに身体を慣らしていこう……と、よく見たらこの桶、ケロリンじゃなくて「モモテツ」になってる!

※画像検索「ケロリン モモテツ

そうなのだ。かつてこの近くの市ヶ谷にハドソン東京支社があった際に、こういう広告営業をかけて出来たものらしいね。ハドソンらしいアイデアだ。そしてこれをまだ現役で使っている銭湯も素晴らしい! 都内には、これを使ってる銭湯が他にもあるらしいので、いつかまたどこかで出会えることだろう。

いつまでもお湯をかぶっていられないので、そろりそろりと湯船の中に身体を沈めていく。お湯がシーンと落ち着いているなら苦労はないが、ジェット装置のせいで湯船の中のお湯はガボンガボン動いている。熱い熱い熱い熱い。自分がじっとしてても、熱湯が攻めて来る。ラーメン食うんだったら大抵のものを熱いとは感じないおれだけど、自分が麺になったらこんなにもキビシイのか。草村*1の麺に謝りたくなった。

*1:高温スープで知られる永福町大勝軒の麺