彼女が裸でラウンドしたら(偽ホイチョイ映画)

先日、池袋の西口公園で行なわれていた古本まつりへ行ってきた。

屋外での古本市は天気がよければ最高なんだが、その日はあいにくの雨降り。いちおう、古本を満載したワゴンはすべて大型テントとビニールのカーテンで覆われているので、本が濡れるようなことはない。でも、やっぱり雨だと客足も少なく、盛り上がりに欠けるんだよね。

このテンションの上がらなさが、背表紙をチェックするおれのセドリビーム(ハンター視線)に悪影響を与えているのか、どのワゴンを覗いても、いまいち「欲しい!」って本が見つからない。せっかく来たんだから何か買って帰らなきゃ、なんて考えが頭の隅をよぎったりもするが、そうやって無理して本を買ってもロクなことにならないのは経験上わかってる。

いっそ、スッパリ諦めて何も買わずに引き揚げるのもプロの古本屋としては懸命な判断かもしれない。そう考えて、その日は収穫を諦めるか……と思いかけたそのとき。

一冊の本のタイトルが目に飛び込んできた。

裸で覚えるゴルフ入門(1973/土屋書店/弘文エディター編)

何を言ってるのか? と思った。ゴルフは裸で覚えるものではありません! でも、背表紙にはそう書いてある。どんなフザけた本なんだよ、とボヤキながら棚から引き抜いた。そうしたら、こんな本だった。


ケチケチせずにデカい画像でいくぜ。


ゴッホの筆づかいみたいなヘアスタイルのおねえさん、超真剣。

なんの誇張も、おフザケもなく、本当に裸で覚えるゴルフの本だった。中身は普通にゴルフの入門解説書で、第1章「知識編」から第2章「基本編」、第3章「実技編」、第4章「応用編」と続いていく。それぞれの見出しも、「自分にあうグリップはどれか」だの、「両足とボールの距離」だの、「芝目の性質」だの、「ラフが深い場合」だの、「ぬれたグリーンは曲がらない」だの、いやらしさを感じさせる要素はまったくない(ないよね?)。

ただし、それぞれの文章に添えられている写真が、いちいち全裸なのである。

繰り返すが、本の構成や文章には、性欲を喚起させる要素は一切ない。ゴルフの入門書なんだから当たり前だ。じゃあなんで裸なんだろう? カバーの見返しには、まえがきの抜粋として以下のようなことが書いてある(赤文字指定も現物ママ)。

 ゴルフのむずかしさは、自分の技術と判断だけが頼りである、という点から出発している。止まっているボールを打つのが、どうしてむずかしいのか、というかもしれないが、実際にやってみるとそれがよくわかるものだ。
 この本は、あくまでも初心者に焦点をあて、とくにヌードを使って形をわかりやすく表現してみた。画期的な試みであるが、ゴルフ入門の一助にしていただきたいと思う。

なるほど、たしかにショットを打つときの筋肉の動きなんかは、裸の方がよりわかりやすい。編集する側にとっても、読者の側にとっても、十分に必然性のある理由だ。ゴルフのためならあたしがひと肌脱ぐわ、である。いやー、久々にいい本を買った(さすがにちょっと高かった)。

※これは殿堂入りなので販売はしませんが、マニタ書房に来ていただければ自由に閲覧していただけます。