だって・サイクロプス・突然

痕跡本が好きなのと同様に、中古レコードに前所有者の痕跡が残っているモノもたまらなく好きだ。中古盤屋でエサ箱を漁っていて、ジャケットに落書きがしてあると無条件で買う。こんなのだったら最高だ。

マニタ書房を開業する直前、80年代アイドルのドーナツ盤を大量に仕入れて、1枚1枚検品をしていたときのこと。松田聖子のレコードの束の中に『ロックン・ルージュ』が入っていた。

松田聖子のレコードは大量にプレスされてるのでレアでもなんでもないし、この曲自体あんまりワタクシの好みではございません(ユーミンに興味がない)。しかも、ジャケを見るとなんか折りジワがついている。こんな傷モンじゃ商品にはできないし、捨てちまうかー!

ゴミとして分別するために、袋からジャケを取り出した、そのとき。

光の加減で松田聖子の表情がうっすら変わり、「あれ?」っと思った。

縦に入った、3本の折りジワ。

ああ、そういうことか。

教科書とかでこういう遊びやったよね。お札でやるのも流行った。

反対から見るとこうなる。いまさらこんなことで驚きゃしないけど、くだらなすぎて笑ってしまった。

これが超貴重なレコードだったら、たとえ折りジワがあってもそれなりに値段の付けようはあるんだが、松田聖子じゃどうにもならん。でもまあ、少しだけ笑わせてもらったので、痕跡レコってことで、マイコレクションとして残しておこう。

三原順子が出てきた頃に「松田聖子と似ている」という意見があって、そうかなー? と納得がいかなかったけど、このレコードの折りジワを再現するために何度か折り畳んでいて、「あっ、三原順子!」と思った。

一つ目なのに似てるって、すごいな。