ひとりにしてくれ……

自分には“師匠”と思っている人物がふたりいる。

ひとりはゲームフリークの社長、田尻智氏。単なるゲーム好きだったおれに、なぜゲームはおもしろいのか、ゲームは何によって出来ているのか、ゲームを作るとはどういうことなのか、さらにはゲームの具体的な作り方のすべてを教えてくれた。ゲーム業界全体で見ればほとんど無名に近いおれだけど、それでも「ゲームデザイナーでござ〜い」ってな顔をしていられるのは、彼との出会いがあったからこそだ。

そしてもうひとりが、角川アスキー総合研究所取締役兼主席研究員の遠藤諭氏だ。そこでどんな仕事をされているのか、長い肩書きからはよくわからないのだけど、出会ったのは30年も昔。『東京おとなクラブ』というミニコミを作っておられた。飄々としているけど仕事には厳しく、適当なことばかり言ってるけど、実はたいへんな物識り。好奇心旺盛だけど、アジア料理とカレーしか食べない。そんな人。

フリーライターになったばかりでロクに仕事のなかったおれに、遠藤さんはあれこれと仕事を世話してくれた。本人は「何かを教えたことなんてないよ」とトボケるかもしれないが、遠藤さんと一緒に仕事をする中で、企画の考え方から、文章の書き方、見出しのつけ方、写真の入れ方、締め切りのごまかし方などなど、なんでも教わった。書き手としての師匠であり、編集者としての師匠でもある。いまのおれがあるのは(以下略)。

で、マニタ書房をはじめてから、いろいろと愉快な人や大好きな友人や尊敬する人達が店もしくは店主とみさわのことを取材してくれたのだけど、ここで真打ち登場。遠藤諭さんが取材してくれたんだよ。

遠藤さんは『週刊アスキー』で「神は雲の中にあらわれる」というコラムを連載されている。本日発売の『週刊アスキー 2014 1/7-14合併号』では、いつもの連載の他に、綴じ込み付録の中でも「番外編」として2本目のコラムを書いていて、それがマニタ書房なのであります。

古書店としてマニタ書房をやっているけど、ライターの事務所も兼ねているので、あんまりお客さんに押し掛けられても仕事にならない。だから、通りすがりの一般客を無理に呼び込んだりすることはせず、“わかってる”お客さんだけ来てくれればいいな……という、大声ではなかなか言えない、客商売にあるまじき微妙な感情を、遠慮なくズバリと大見出しにしてくれちゃっている。こんなことは師匠でなけりゃできません。

ありがとうございました。みんな、週アス買おうぜ!

ちなみに、見開きの関係でおれとHKT48松岡菜摘さんの写真が向かい合わせになってるので、ページを閉じたり開いたりしてチュッチュさせて遊んでいるよ。