そんな君から別れのなまこ壁

そうか、わかってしまった!

何がわかったのか、それを説明する前に、事のあらましをおさらいしておこう。

いわゆるゴーストライター事件である。全聾の天才作曲家として知られていた佐村河内さんが、実は自分では作曲をしておらず、桐朋学園大学音楽学部で講師をしていた新垣隆さんに指示を与えて曲を作らせ、さも自分が作曲したかのように振る舞っていたという、あの一件である。

ふたりの間でうまく話がついているうちはよかった。ところが、2014年の2月5日になってその新垣さんが突然、記者会見をひらいてすべて明らかにしてしまった。「本当はわたしがゴーストライターをしていました!」と、ぶちまけたのだ。

その後、今度は佐村河内さんが謝罪会見をひらいたものの、謝罪は最初のうちだけで、後半になると新垣さんを「裏切り者」呼ばわりするなどして、事態は完全に泥仕合の様相を呈しはじめた。数年前から少しは聴力がもどってきたが、それでもまだノイズがひどくて聴こえづらい状況にあるというので、手話通訳を介しての記者会見だったが、なぜか質疑応答中に手話通訳の人の方を見たり見なかったりで、なんだか設定がブレているところも話題になった。

ロンゲ&サングラス&ヒゲ姿だったはずが、バッサリ髪を切って素顔で登場したのも注目を集めたが、わたしはそんなことよりも、先に記者会見をひらいた新垣さんの方が気になり続けていた。あの記者会見を見たときから、ずっと心に引っかかるものがあったのだ。

ふたりで手を組んで、人々を騙し続けた18年間。そんなに仲が良かったはずのふたりが袂を分かち、お互いに記者会見をひらくような事態になってしまった。悲しそうな表情ですべてを吐露する新垣さん……。


なんで、会見場の背景が土蔵のなまこ壁みたいなんだろう?


こ、これはひょっとして、あれか?


サブリミナル的にあれをイメージしてるのか?


あれだよ、あれ。


フォークグループ、バンバンが1976年に飛ばした大ヒット曲。


あの有名なレコジャケ……。



♪今日〜 鎌倉へ〜 行ってきまぁ〜したぁ〜