板橋区・大山、丸鶴の特製タンタン麺

 一般的に担々麺というと、ひき肉とラー油とゴマ。とくにスリゴマたっぷりの四川風ラーメンを連想すると思う。そしてクタッと火の通った青梗菜。あれが一般的な坦々麺のイメージだ。

 しかし、ぼくはあれがそんなに好きではない。いや、基本的に辛いラーメンはどれも好きなので、担々麺も嫌いではないが、スリゴマを溶いたスープにちょっと甘いイメージがあって、積極的に食べようという気になれないのだ。わかりますか、このニュアンス。いざ食べてみれば辛いんだけど、食後の印象としてはどうも口の中に甘さが残るの。

 そんなわけで四川風の担々麺をぼくが食べることはほとんどないのだけど、その一方で、タンタンメン(ここはあえてカナで書く)にはそれ以外のバリエーションが非常に多い。四川風とはガラリと変わって、ゴマを使っていないスタミナ麺のようなもの、玉子とじにしたもの(ニュータンタンメン本舗)など、いろいろある。

 板橋区の大山というところにはまるで縁がないので、そんな店があるのは知らなかったが、ある知人から「丸鶴」という町の中華屋さんを教えてもらった。そこの特製タンタン麺がおいしいというのだ。家からはちょっと距離があるけど、古本の仕入れも兼ねて足を伸ばしてみた。11時の開店とほぼ同時に入店し、迷うことなくそれを注文。

 出てきたのがこれだ。まあ、事前に食べログでドンブリ画像は見ているので、「ああこれね」という感じ。

 おそらく鶏ガラでとったであろうスープに、ラー油。のっている具は豚肉、玉ねぎ、ニラ、ニンジン、キクラゲを炒めたもので、ようするにスタミナ焼きだ。てっぺんには「なると」がひと切れ。麺は手打ちのちぢれ麺。このちぢれ麺というものもぼくの好みとは違うんだが(めんどくさくてスマンね)、ここのは悪くなかった。いやむしろ、野菜の甘みが溶け込んだスープとよく絡んで、ずいぶんうまかった。

 どうにも家から遠いので、なかなか再訪はしづらいけれど、こちらへ来る用事があったらぜひまた食べに来たいし、なんならここへ来ることを前提にブックオフ巡りのツアーを組んでもいい。それぐらい魅力的な味だった。