発表!アーカイブック2017

すっかり遅くなっちゃったな。本当は2017年の年末か、せめて年が明けても1月のうちに発表すべきだったんだけど、もう2月。英語で言ったらヘブラリーですよ。おならの推進力でぶらり旅。

えー、アーカイブックとは「何らかのコレクションをまとめた書物」あるいは「何らかの蒐集家がコレクションについて書いた書物」または「それに類するもの」のこと。まあ、どこからどこまでをアーカイブックと呼ぶかは、おれが決める。で、ベスト・オブ・アーカイブックとは、それらの年間ベストを発表していくという活動である。

さっそく、2017年に発行されたそれらの中から、ベスト・オブ・アーカイブックを発表しよう。まずは10位から!

■10位『日本のZINEについて知ってることすべて』

タイトルが示す通り、日本で発行されたZINE(自費出版物)のほぼすべてを網羅した大著。『アイデア』での同名連載を書籍化したもので、ぼくはここに掲載された8誌に関わっており、つくづくミニコミ育ちなんだなあと自分の人生を振り返った。

■9位『幻の未発売ゲームを追え!』

ゲームの研究書もずいぶん出版されるようになったが、未発売ゲームや没ゲームをまとめた本というのは意外なことにこれまでなかった。しかし、この本で一発目に出てくるのがぼくも開発に参加していた『メタルマックス ワイルドアイズ』というところに、つくづく自分の人生を(以下略)。

■8位『のらもじ まちに出よう もじを探そう』

のらもじ まちに出よう もじを探そう

のらもじ まちに出よう もじを探そう

町の看板や装飾テントにある独自の文字(のらもじ)を採取し、書体の癖を分析して文字フォント化するというプロジェクト。路上観察趣味は多々あるが、その一歩先をいった感じが楽しい。

■7位『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』

エロゲー文化研究概論 増補改訂版

エロゲー文化研究概論 増補改訂版

エロゲー35年の歴史を時代に沿って紹介している本。この分野のゲームには一切興味がないぼくでも非常に興味深く読むことができた。

■6位『もにゅキャラ巡礼』

もにゅキャラ巡礼 銅像になったマンガ&アニメキャラたち

もにゅキャラ巡礼 銅像になったマンガ&アニメキャラたち

日本全国にある漫画やアニメのキャラクター像を撮影蒐集して紹介した本。ただの観察紀行で終わらせずに、たとえば上井草にあるガンダム像の右手を高村光太郎の「手」と比較してみるなど、アーカイブックの理想がそこにある。

■5位『巨乳の誕生』

昨年の「アーカイブック2016」では『痴女の誕生』が3位に入った安田理央氏の続刊がこれ。本人は巨乳好きではないと言っているが、よくぞここまで調べ上げたものだと感服する。さて、次は何の誕生を掘り下げてくれるのか……?

■4位『捨てられないTシャツ』

捨てられないTシャツ (単行本)

捨てられないTシャツ (単行本)

アーカイブック界のドン・都築響一氏の企画力が冴えわたる名著。氏の出世作とも言える『TOKYO STYLE』がそうであったように、そこにいないはずの持ち主が見えてくる筆致は見事と言うしかない。

■3位『1000のプロレスレコードを持つ男』

ただのコレクション自慢でなく、その曲が入場テーマに選ばれた背景などをきちんと語っているため、プロレスのことをまるで知らないぼくでも非常に楽しめた。読了後に「今年のアーカイブックベストテン入りは確実」と書いたが、見事ベスト3に入った。

■2位『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』

全国版 あの日のエロ本自販機探訪記

全国版 あの日のエロ本自販機探訪記

日本中にかろうじて残存しているエロ本の自販機小屋を調査した本。住所情報などないものを、ほんの少しのヒントから場所を特定していき、Googleマップストリートビューでポイントを特定し、実際に現地まで行って写真を撮るという、気が遠くなるような手間をかけた本。アーカイブックの中では群を抜いた労作だ。

■1位『ジャパニーズチップ展 図録』

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飲食店で食事をした客が食後に箸袋で折った“何か”。それを「ごちそうさま」の感謝の意思表示と捉えて「ジャパニーズチップ」と命名し、全国様々な飲食店から蒐集した展示会の図録である。これには本当に脱帽した。図録も素晴らしいのだけど、そもそもこれを集めようと思いついた着眼点が素晴らしい。蒐集主の辰巳雄基氏はこの活動をコレクションではなく、あくまでもアート活動としてやっているようだが、ぼくはプロ・コレクターとして久しぶりに嫉妬した。

 

というわけでベスト・オブ・アーカイブック2017でした。では、また来年!