フリー禁煙セラピーはじめました

 ぼくは16歳から(フハハ!)ずーっとタバコを吸い続けてきた。

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 40歳のとき、子供ができたのをきっかけにしてタバコをやめようと思ったのだけど、多くの禁煙失敗者の例に漏れず、なかなか禁煙できなかった。固い意思でやめると決意し、タバコの箱を握り潰したのに、しばらくするとタバコを買いに行ってしまう。三日坊主どころか、三時間坊主の有様だ。

 そんなとき、友達から紹介されたのが『禁煙セラピー』という本だった。まだ読む前、その友達の話を聞いている段階で、すでにヤバイ予感がした。ぐんぐんタバコをやめたくなってきた。この本はマジで効くな、と直感した。

 すぐに書店に駆け込んで購入した。そのとき手持ちのタバコが切れていたが、どうせこれから禁煙するんだし、いいタイミングだ。もうタバコを買う必要はないと、そう考えて読み始めたら……、最初の方にこんなことが書いてあった。

「本書を読み終わるまでタバコをやめないでください」

 ハッとした。これはタバコという洗脳から脱するための本だから、自己判断で勝手なやめ方をすると、効くものも効かなくなるだろう。著者の指示には従った方がいい。素直にそう思えたので、もうタバコを吸う気はなくなっていたにもかかわらず、あえてタバコを買いに行った。そして、くわえタバコで読み進めていった。

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 たった200ページ程度の本なので、読み終えるまでにそう時間はかからない。何本タバコを吸っただろうか。読み終えた本を閉じると同時に、最後に吸っていたタバコをもみ消して、それで終わりだった。その瞬間、嘘のようにタバコがやめられた。まるで魔法のようだ。

 本を一冊読むだけで、なんの苦労もなく禁煙に成功してから、すでに16年が経過した。その間、一度もタバコを吸いたいと思ったことがない。

 タバコをやめたいまはとても体調がよく、余計なストレスもない。ただ、ひとつ問題があるとすれば、周囲のタバコの煙を迷惑に感じるようになったことだろう。自分勝手な話だと思われるだろうけど、こればかりは仕方ない。

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 できれば、全人類にタバコをやめてほしい。でも、それを強制するわけにもいかない。元喫煙者として、吸いたい人の自由は守られるべきだとも思う。けれど、やめたいのにやめられないでいる人がいるなら、その手助けくらいはしたい。

 そこでぼくは、『禁煙セラピー』を無料で配布する、というアイデアを思いついた。タバコをやめたい人が自力で『禁煙セラピー』に出会えればいいのだが、そうでないことの方が多いだろう。ならば、出会えるチャンスを少しでも増やそう。手に取るハードルを少しでも下げてやろう。

 というわけで、マニタ書房では今日から店頭で『禁煙セラピー』を無料配布する。いちおう「お一人様、一冊限り」という制限はあるが、タバコをやめたい人なら、とくにマニタ書房で買い物をしなくても、持って行ってくれてかまわない。

 あなたがうまく禁煙に成功したら、この本は好きに処分したらいい。捨ててもいいし、友人にあげてもいい。あるいは、またマニタ書房に持ってきてくれてもいいね。そうすれば、また、その本は次の誰かの禁煙に役立つかもしれない。