新型コロナ音頭

2020年07月03日

 拙著『レコード越しの戦後史』でも書いたことだが、日本人というやつは何か歴史的な出来事や事件があると、すぐにそれをレコード(CD)にする。オリンピック、万博、東京タワー。ぼくは珍盤コレクターなので、そうしたレコードやCDは手当たり次第に買ってきた。東京スカイツリーができたときなんか、次から次へとCDが出るので、忙しくて仕方なかった。

 いまは、新型コロナウィルスが猛威を振るっている。百年に一度(てきとう)の疫病災害である。となれば、当然のことながら日本人はコロナを題材にした流行歌を作るはずなのだが、いまのところその兆しはない。流石にリアルタイムで死者が出ている状況で、それは不謹慎だと思われるのだろうか。別に亡くなった方を笑うわけでなく、コロナをヨイショするわけでもないのなら、曲くらい作ってもかまわないと思うのだけどな。

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まだパッケージは開けていない

 いちおう、『コロナ撃退 免疫力を高めるヒーリング音楽』なるCDを見つけたので、さっそく入手しておいた。まだ聴いてはいないのだが、ヒーリングミュージックなので、聴くまでもなかろう。これが昭和だったら、絶対すぐに『新型コロナ音頭』とか作られていたはずだ。♪ドンドン、ドンと鳴った、コロナだドン。B面はムード歌謡で『ふたりのソーシャルディスタンス』かな。

 なーんてことをツイッターでつぶやいたら、旧知の作曲家の福田裕彦さんが「曲つけるよ!」とノッてくれて、あれよあれよという間にぼくが作詞をすることになってしまった。

 福田さんは、井口昇監督の映画の劇伴を主に手がけている人だが、珍レコードマニアには架空アイドル芳賀ゆい『星空のパスポート』(1990年)の作曲者だと言えば、その存在感が伝わるだろうか。ちなみに、この曲は芳賀ゆいのための書き下ろしではなく、福田さんが生方則孝さんと組んでいたユニット「生福」のアルバム『内容の無い音楽会』(1988年)に収録されていたアイドルソング『酸素でルルル』の改題である。

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きみは誰なんだ

 それにしても作詞か。もう何年もやってないな。いまから35年くらい前、内山田洋とクールファイブのアルバム曲の作詞コンペに参加したことがあって、焼肉屋を舞台にした失恋ソングを書いたのが初体験だった(当然のことながらボツ)。あとは友人が撮った短編映画『スケ番ハンター 地獄の決闘』で、劇中歌の作詞をしたくらい。こちらはサントラにも収録されている。


 でも、『新型コロナ音頭』。実現したらおもしろいので、なんとか形になるまではやってみようかと思う。