娘との20年

2020年07月16日

 娘が二十歳になった。

 2011年に女房を亡くしたとき、娘はまだ小学5年生だった。それからぼくが男手ひとつで……と言えばかっこいいのだろうけれど、幸いなことに母も姉も同居していて子育てを助けてくれたし、遠方に住む義理の姉と妹、妻の親友も何かと力を貸してくれた。おかげで娘はたくさんの愛情に囲まれて育つことができた。

 男親にとって女の子はひときわ可愛いものだが、ぼくとて例外ではない。娘が好きなものはなるべく買い与えてきた。おもちゃ、絵本、ゲーム。だけど、うちの子は自分から何かを欲しがることはほとんどなかった。誕生日プレゼントやお年玉をやれば喜んでくれるが、自分から要求することはしない。

 絵を描くことが大好きで、休みの日は外にも出かけず、家で黙々と漫画やイラストを描いている(二十歳になったいまでもだ)。小学生のときには、ぼくが編集者となって一緒に同人誌を作ったりもした。

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娘と父の同人誌『ぶっくらんど』より

 プロ・コレクターを自称する者として、気になるのは娘に“蒐集癖”があるのか、ないのか? ということだ。

 ぼく自身は、これまであちこちに書いてきたように、子供の頃から酒瓶のフタだの、ミニカーだの、漫画本だの、映画チラシだの、集めて楽しそうなものには片っ端から手を出してきた。しかし、娘を見ているとそういう気配はまったく感じられない。

 一般に、コレクターは男が多いと言われるが、女性にだって様々なコレクターは存在する。岡崎友紀スヌーピー黒柳徹子がパンダ、楠田枝里子が消しゴムのコレクターだというのは有名だ(いちいち例えが古くて伝わりにくい)。いまだって、コミケワンフェス、文フリ、マニアフェスタといったマニアの集まりに行けば、その半数くらいは女性が占めている。

 まあ、娘にコレクター気質がなくてよかったと思うべきなのだろう。ぼくと違ってまったく無駄遣いをしない性格で、我が家でいちばん貯金を持ってるのは娘かもしれない。将来、お金でトラブルを起こすことはなさそうだ。