40 ゲーム書籍とマイブリッジと長岡秀星

2015年6月マ日 マニタ書房では、80年代アイドルのドーナツ盤も売っているが、店主としてこれはどうも居心地がわるい。アイドルは好きだから(といっても80年代まで)みんなにも聴いてほしくて仕入れはじめたんだけど、安く仕入れられるのはどうしてもありき…

39 イエローポップ下北沢店と川口店と喜国さん小冊子

2015年5月マ日 ご店主のつぶやきで、下北沢の中古レコード店「イエローポップ」が閉店となったことを知る。ぼく自身、何度もここを訪れ、たくさんのレコードを買わせていただいたが、それより何より、イエローポップが入居している「黄色いビル」こと第二鈴…

38 私の収穫と自滅願望と推理作家協会賞

2015年4月マ日 ひとのコレクションを見るのは楽しい。『本の雑誌』の巻頭企画「本棚が見たい!」もいいし、『レコードコレクターズ』誌で大鷹俊一氏がやっていた「レコード・コレクター紳士録」も毎号楽しみだった。 友人がこのたび何年かにわたって書い続…

37 店主一人営業の苦悩と万歩書店と大馬鹿者

2013年5月マ日 切実に店員さんが欲しいなあと思う。 店の営業は店員さんに任せて、自分は「セドリ」という名の買い付け旅行だけをして暮らす。それで店の維持費と自分の生活費を賄う。その合間に行うライター仕事による収入は余録として貯蓄に回す。そんな…

36 珍書とシーナとナスカジャン

2015年2月マ日 自分で古本屋をやっていて嬉しいことのひとつに、仕事やプライベートで読み終えた本を自分の店で売れるというのがある。 読み終えた本をよその古本屋に持ち込んだら、せいぜいが定価の1割くらい(2,000円の本なら200円。なんならもっと低い…

35 ソウルじじいと岡山のローカルスターとBAWDIES

2015年1月マ日 新年明けましておめでとうございます。 昨年の前半は相変わらずの「いつ開いてるかよくわかんないわがまま営業」をしていたけれど、後半になって突然「このままじゃいけないのではないか?」と思い直して、わりとちゃんと店を開けるようにし…

34 TRAと子供歌手と特殊辞典

2014年12月マ日 20代から30代の後半くらいまで家を出て一人暮らしをしていたので、若い頃に買い集めたレコードコレクションは、母が物置の奥に突っ込んでいた。 結婚して、娘が生まれて実家に帰ってきてからも、子育てとゲーム開発の仕事に追われて、音楽を…

33 ターンテーブルとプノンペンそばとマドモアゼル朱鷺

2014年11月マ日 朝からあいにくの雨。だからというわけではないが、開業3年目にしてとうとうマニタ書房にも傘立てが導入された。といっても、標準的な傘を2本も挿せば一杯になってしまうごくコンパクトなものだ。もう少し大きなものにすることも考えたが、…

30 ファンコットとナスカジャンとドグラマグラ

※過去ログを遡っていただくとわかりますが、第30回(2014年8月分)が抜け落ちていたので、今月はそれをアップしておきます。 2014年8月マ日 白石晃士監督の新作『ある優しき殺人者の記録』を見に、日比谷シャンテ内にある東映試写室まで出かけていく。刃物…

32 ヘッドと天使と超芸術トマソン

2014年10月マ日 神保町の事務所に出勤したら、気持ちは原稿を書きはじめたいのだけど、まずはその前に前日までに仕入れておいた本のデータを帳簿に入力する作業を始めて、ウォーミングアップする。程よく指先と頭脳が暖まったところで店を開店し、自分はパソ…

31 古本トリオとてつ麿先輩と立川談豪

2014年9月マ日 早野凡平の『あゝお酒』という曲は、バラクーダの『日本全国酒飲み音頭』より2年も先に出ているが、そのコンセプトはまったく同じである。しかも、『日本全国酒飲み音頭』はご存知のように『ビビデ・バビデ・ブー』の替え歌だが、『あゝお酒…

29 ばむと幻のチンタマとアーカイブック

2014年7月マ日 ふと、疑問が頭に浮かぶ。「夏は暑く、どうしても汗ばむ」などと言うときの「ばむ」ってなんだろうか? と。 たとえば四季の変化で「春めく」と言えば、その「めく」は動カ五、すなわち動詞カ行の五段活用ということになる。では「汗ばむ」は…

28 横溝正史の世界と髑髏ベレーと映画のパンフ

2014年6月マ日 昨年でライター生活30年を迎えたため、12月に新宿のロフトプラスワンで「とみさわ昭仁30周年記念トークライブ〈蒐集100万年〉」を開催した。ぼく自身はそれで十分満足したのだが、DJ急行&セラチェン春山コンビが大阪でもやりましょうと言っ…

27 尾崎と竹中直人とブッコロールシャツ

2014年5月マ日 朝イチから八王子まで出かけて、駅の北口、西放射通りユーロードで展開されている古本まつりを見てきた。ここは自分と相性のいい古書市で、いつ来ても何らかの収穫があるのだが、今日は2時間くらいかけてじっくりワゴンを見て回ったが、これ…

26 消費税とメキシコ麻薬戦争とナスカジャン

2014年4月マ日 本日より消費税が5%から8%になった。まったく困ったもんだ。消費者としても、商店経営者としても、腹立たしいったらありゃしない。とはいえ、実際のところマニタ書房には関係なかったりする。なぜなら、うちは増税前も増税後も、一切、消…

25 山川惣治とピンカデリックとプリングルスの筒

2014年3月マ日 荒井由実の名曲に『海をみていた午後』がある。この歌詞の中に「山手のドルフィン」という店が出てくるが、これは架空の場所ではなく、神奈川県の山手と根岸の間に実在するレストランだ。中川右介の『角川映画』を読んでいたら、そのドルフィ…

24 BRUTUSと煙突写真と釣り人の群衆

2014年2月マ日 今月1日発売の『BRUTUS』は「手放す時代のコレクター特集」。企画段階から協力していて、ぼく自身もエッセイも寄稿しています。どのようなコレクション遍歴を経て「エアコレクター」の境地に辿り着いたのか? そんな感じの話を書きました。 …

23 山田風太郎と廃盤ビデオと万引きコーナー

2014年1月マ日 新年早々、早朝から公園にシケモクを拾いに行こうとする老いた父を引き止める。ヨボヨボのくせに握力だけはあって、つかまれた手の皮膚が裂けて出血した。 いまのところトイレも風呂も一人で済ませられるので、肉体的にはそれほど家族の手を…

22 古本ライターとやくざ者と浅田真央

2013年12月マ日 いまから4年前。復職して10年ほど勤めたゲームフリーク社との契約を解除して、またぼくはフリーランスに戻った。自ら進んでやったことではあるけれど、50歳を目前にしての再出発は難しい。ましてやおりからの出版不況で雑誌は激減し、ぼくに…

21 赤尾敏とリアル鬼ごっこと人喰い人種

2013年11月マ日 今日の閉店間際、やけに貫禄のある初老の紳士が店に来た。見るからにヤクザ、という風体ではないのだけど、あの貫禄は堅気ではなさそう。で、発した第一声が「ヤクザの本ある?」なのだ。 また都合がいいのか悪いのか、マニタ書房には「ヤク…

20 本の雑誌と安達祐実と蒐集100万年

2013年10月マ日 先月、かつて「週刊プレイボーイ」誌で編集長を務めていた島地勝彦さんの取材を受けた。氏が「月刊リベラルタイム」で連載している「ロマンティックな愚か者」という記事に、マニタ書房の店主であるぼくが取り上げられたのだ。自分で言うのも…

19 古本ゲリラの可能性とフリースタイルと神戸ツアー

2013年9月マ日 古本ゲリラは、みんなで古本を売ったり買ったりする行為がしたくて始めたイベントだけど、ぼくは自分でリアルな古本屋を始めて、実店舗まで持ってしまったものだから、もう古本ゲリラをやることはないだろうと思っていた。 けれど「またやっ…

18 攻略本の巣窟と伊勢うどんと美濃加茂盆踊り

2013年8月マ日 自分で店を始めてわかったことがひとつある。それは「ドアを開けておくと虫が入ってくる」という事実である。虫といっても、このビルは飲食店が入居しているわけではないのでゴリブリ的なやつは出没しない。せいぜいが蚊とか小さな蛾のような…

17 折りたたみ自転車と珍生相談と博士年表

2013年7月マ日 都内でブックオフ巡りをする際の機動力を上げるために、折りたたみ自転車を買った。なるべくコンパクトに折りたためるやつがいいなと思って、選んだのはSNSで教えてもらった「CARRY ME」。 ネットで写真を見て、これはぼくが求めていたちょう…

16 怪しい店と古本珍生相談と無看板営業

2013年6月マ日 ぼくらが子供の頃、町内に一軒くらいは怪しい店があった。見た目はごく普通の古本屋っぽいんだけど、店の一角にちょっと肌色が目立つ雑誌なんかが置いてあって、子供が近寄ろうとすると店のオババに「そこの本は触んな!」とか怒られる。当然…

15 裸で覚える竹熊さんとビッグダディ

2013年5月マ日 朝から雨降り。こんな日にわざわざ古本屋巡りをする人も少ないだろうから、店は開けずに家でおとなしく原稿でも書いていればいい。だが、池袋の西口公園では今日から古本まつりが始まっている。うちの店にも客は来ないけど、古本まつりの客足…

14 アニマル洋子と店内撮影と宮尾登美子

2013年4月マ日 売り物の本に掛けるビニールに悩んでいる。この件は以前も書いたが、グラシン紙で本を包むのが好きじゃないので、状態の確認がしやすい透明ビニールで本を包みたいのだ。 店内にあるすべての本をビニール掛けするのは作業量的に現実的ではな…

13 飲尿療法とカンパの古本と謎の鉄パイプ

2013年3月マ日 かつて「飲尿療法」という民間療法が流行ったことがある。1990年に『奇跡が起きる尿療法』(中尾良一/マキノ出版)という本が刊行されて、広く世間に知られることとなった。飲尿、ようするに自分の尿を飲むことで体内がデトックスされ健康に…

12 忍者と豆盆栽と沖縄ブックオフツアー

2013年2月マ日 以前にも書いたが、つげ義春『無能の人』の「石を売る」は自分の中にとても深く食い込んでいて、ゲームデザイナーとして時代の最先端にある仕事をしていたときから、将来、自分はあそこへ行ってしまうんだろうなあ、という怖れのような気持ち…

11 セカンドライフとブックオフとトイレの問題

2013年1月マ日 マニタ書房を開業して初めての新年である。新年早々ブログを更新。マニタ書房としての公式ブログは作っていないのだが、とみさわ昭仁個人としてのブログ「Pithecanthropus Collectus(蒐集原人)」に、マニタ書房の概要という記事をアップし…