「三浦和義事件」って、よく考えたらすごいよね。ひとの名前が事件の名前になってるって。犯人って確定したわけでもないのに。それくらい当時の報道は無茶苦茶だった。誰もそうはっきりとはいわないけど、完全に三浦さんを犯人扱いしてた。本人もまた悪びれもせずテレビに出てきたりしてたから、余計に野次馬をよろこばせてたんだけどね。
そんなときに出たのが、この本。
『疑惑の銃弾』(1984/笠倉出版)
ロス疑惑の劇画ですよ。これはね、たしか1995年頃に荻窪の古本屋で手に入れたんだ。裏表紙を見ると鉛筆で200円って書き込まれてるから、たぶんその値段で買ったはず。これが、とにかくいいーんだな。味わいのかたまりみたいな本。
全体が三部構成になっていて、それぞれちがう作家さんが描いている。
とにかく、この本を貫いているのは「三浦和義がやった」という決めつけね。なんの証拠もないのに、劇画で思いっきり印象操作している。たとえば、中学の頃に自宅付近で放火事件が発生するんだけど、そんときの三浦少年の姿がこんなんだ。
「クックック ククク……!」
三浦少年は、優等生な表の顔と、放火魔な裏の顔を使い分けつつ、やがて大人になっていく。大人になってからは、持って生まれた端整な顔立ちを活かして、女をコマしまくる。のちに遺体で発見される千鶴子さんとの情事はこう。
「いや、それは、ちょっと……」
週刊文春かなんかで「三浦和義が乱交パーティーに参加してた!」っていう報道もあったよね。ちゃんと劇画にも入ってる。こんな顔で。
「アヘ……」
そして、いよいよラスト近く。ロス郊外に妻の一美さんを連れて行って、記念写真を撮ろうとする問題のシーンだ、
「一美さん、逃げてぇぇぇぇぇ!」
「バーーーン!!」
刑が確定もしてないのに、三浦さんのプライバシーを暴きまくった挙げ句に、めちゃめちゃ犯人扱いしてる。何度見てもこの本最高だなー。
で、なんでこんな本を今頃引っ張り出してきたかというと、ロス疑惑マニアにはたまらない、とてもいいアイテムが手に入ったからだ。コレクター友達のteshi024さんが、LA旅行のおみやげに現場の土を採取してきてくれたのだ。
こんなふうにして売ってたわけじゃなくて、teshi024さん自らがパッケージングしてくれたんだよ。ラベルまで作って。このひとも相当どうかしてるよね。