かくのごときありがたき書物に出会えることは百千万劫年に一度あるかなしかの僥倖(と著者本人が言っている)。

開運 楽観道のすすめ

開運 楽観道のすすめ

この表紙写真でわかるだろうか? 右側に小さく写っているキャラクターの顔。
せっかくなのでアップにしてみる。

見覚えあるでしょ? 平城遷都1300年祭のイメージキャラクターとしていろんな意味で有名になった「せんとくん」にそっくり。そう、これはあのせんとくんをデザインした藪内佐斗司先生が、彫刻家として活動してゆく過程で仏教をはじめとする様々な宗教を学び、試行錯誤の果てに自分の哲学としてたどり着いた“楽観道”について解説した本なのだ。
とはいえ、先生は本職が彫刻家だから、文章だけではなく、各項目ごとにたっぷりと(その数60体以上もの)彫刻作品の写真が載せてある。それがまた見事にどれもこれも、せんとくんと同じ“あの顔”なのだ。
本書が出版されたのは2002年4月。せんとくんが発表されるよりずっと前だ。つまり、あのデザインは昨日や今日出てきたものではないんだね。藪内先生は前からずーっとあの顔を作り続けている。それがたまたま平城遷都1300年のイメージキャラに採用されてしまっただけなのだ。
先生はこう言う。

 人生は、やり直しも二つ道を行くこともできません。いくつもある選択肢のなかからたったひとつの道を選びながら生きていく大きな「あみだくじ」のようなもので、今の自分は生まれたときからの無数の選択の集積だといえます。
 ですから過ぎ去った悪しき選択を悔やむのではなく、いつでも次のよりよき選択ができる姿勢でいたいものです。

これこそが、先生の提唱する「楽観道」なのだ。この本を見ていると、せんとくんごときで「キモい!」とかガタガタ言ってた連中が愚かに見える。
先生の実力(キモさ創造力)はなぁ、あんなもんじゃぁねーんだぞ。