『人喰い映画祭(満腹版)』発売記念トークライブ

拙著『人喰い映画祭(満腹版)』の発売まであと3日となった。いやー、やっと本になるんだなあ。感慨深いなあ。

思い返せば4年前。大好きなアニマルパニック映画を片っ端から見ては淡々とレビューを書いて更新していくブログのアイデアを思いついたのが、2006年の暮れだった。最初はブクログで作り始めてみた(→その跡地)が、どうも違うような気がしたので、すぐにやめて、それまでココログでやっていた按図策駿というブログを間借りして始めたけど、カテゴリの設定がうまくいかなかったのでこれもやめて(→その痕跡)、新たにJUGEMブログを借りて正式スタートさせたのが2007月の3月だった。

とにかく目立つために、ブログのヘッダーは凝って作った。人喰い生物をコラージュするというのだけは最初に決めてあって、あとは大好きだったブログ「赤兜」を参考にして作っていった。右端になぜかナマハゲがいるのはヒライさんへのオマージュだ。あと、最初はいなかったんだけど、途中からココロ社さんの顔もコラージュに加えた。人喰い生物だけだと殺伐としてるので、ちょっとバカ成分を混ぜたかったんだな。勝手にやっちゃってもあの人なら喜んでくれる気がしたけど、いちおうご本人に許可を取ってるんだよ。

ブログを始めた時点で「いずれこの企画は本にしよう」とは思っていた。自分はライターで、しかも古臭い人間だから、どうしても紙の本に愛着がある。可能ならば最初から書籍として刊行したかったけど、なかなかそうもいかないので、まずはブログで始めてみた。本一冊分の原稿を書き下ろすのも大変だし、ブログでちょこちょこ更新していって、ある程度レビューの分量がたまれば、そのブログ自体を企画書として出版社に売り込むこともできるな、という計算もあった。なにより、これまで「アニマルパニック」だの「生物パニック」だのと呼ばれていた映画群に「人喰い映画」というネーミングを思いついた時点で、この企画は売れる、という確信があった。

ブログを始めたときから本の完成形はだいたい思い描いていた。その完成形に向かって突き進むために、いくつかのルールを自分に課しておいた。

  • レビューの文章は1本あたり300〜600文字くらいにおさえて読み易くする。
  • 可能なかぎり貶さない。どんなクソ映画でもいいところを見つけてほめる。
  • 写真へのつっこみ芸はやらない(書籍化したときに権利関係が面倒だからね)。
  • 質より量を重視。めくれどめくれど人喰い映画が出てくる呆れた感じを出す。
  • 淡々とした感じを出すために文体は“ですます調”に。
  • 人喰い動物図鑑っぽさを出すために、カテゴリをきちんと設定する。

そうしてブログをスタートさせてから2年ほどが経過し、書きためたレビューも300本近くになっていた。読者も増えてきた。周囲の評判もよかった。

でも、ぜーんぜん出版社から声がかからなかったんだよー!

途中、BCCKSというWebで本が作れるサイトのスタート時に、サンプルブックのラインナップに人喰い映画祭を採り上げてもらったことはある(原稿はブログからの流用)が、このときも書籍化までには至らなかった(→人喰い映画祭 BCCKS)。仕掛人伊藤ガビンさんに注目してもらえたのは本当にありがたくて光栄なことだったが、やっぱり紙の本にしたいんだよなー。

さーてどうしたもんか……と思っていた2009年の8月、突然おれは会社を辞める羽目になってしまった。しばらくは途方に暮れたね。まったく仕事のアテがないのに、いきなりの無職だもんな。で、まあ、どうせ無職なら自分で本でも作るか、と思って自費出版したのが、例の赤い表紙の『人喰い映画祭』だったわけだ。

その時点で原稿はほとんど揃っていたので、著者としての作業はほとんどないようなもんだった。いちばん大変だったのはDTP作業だったと思うが、それは昔からの友人(ファミマガの編集長だった人なんだぜ!)が引き受けてくれた。

表紙は、予算がないのでなんか著作権フリーの人喰いザメの写真でいいか、ぐらいに思っていた。いずれ正式に書籍化されるときは、友人でもある寺田克也画伯にお願いするつもり、というかこの人しかいない! と思っていたんだけど、さすがに自費出版じゃ無理だとあきらめていた。

でも、ひょっとして?
彼、男気あるし。案外やってくれるかも?
じゃあ、ダメ元で?
頼んでみる?

と逡巡したあとにメールをしてみたら……二つ返事でOKしてくれた! 寺田克也サイコー! ハンサム! 抱いて!

で、出来上がった本を昨年の文学フリマに出したら、これがすんごい売れてしまった。その甲斐あって、今回の【満腹版】の版元である辰巳出版さんが声をかけてくれた、というわけなのだ。3年越しの夢が叶った!

予定では、ブログを企画書代わりにして出版にこぎつけようと思っていたけど、さすがにそう簡単にはいかなかった。でも、自費で作った本が企画書の役目を果たしてくれたわけだから、結果オーライだ。

もちろん、同じ内容の本を何度も買わせるわけにはいかないので、今回の【満腹版】では、自費版を買ってくれた人にも納得してもらえるよう、かなり気はつかった。文体を変えるために全部リライトしたし、ブログからの追加、書き下ろし、人喰いコラムをドバドバ入れたり、自費版のときにやりたかったけど時間の都合で出来なかった「お薦めアイコン」も付けた。自費版も納得の出来ではあったけど、【満腹版】はブログを始めたときに思い描いていた完成形が、見事に形になっている。

そんなこんなで、原稿も全部出来上がり、寺田画伯にはあらためて表紙イラストを描いてもらった。オビには樋口真嗣監督から狂気すれすれの推薦文も頂戴した。もう言うことないよねぇ……。

いや、まだ言うことあったーっ!!(というか、これが本題)

この本の刊行を記念して、トークライブをやるのだ。本だけでは伝わらない人喰い映画の魅力をいろいろ紹介しようと思っているので、ぜひ人喰いファンの皆さんは新宿に集まってほしい。集まるべき。集まらないと死ぬ。

ながらく秘密にしていたゲストも以下に発表するでよ。

『人喰い映画祭(満腹版)』発売記念トークライブ
【出演】とみさわ昭仁寺田克也とり・みき柳下毅一郎
【司会】DJ急行、セラチェン春山

  • 2010年7月3日(土)
  • OPEN 12:00 / START 13:00(15:30終了予定)
  • 新宿ロフトプラスワン
    (新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 TEL 03-3205-6864)
  • 前売¥1500 / 当日¥2000 (共に飲食別)

※『人喰い映画祭・満腹版』持参の方は、500円オフ!
(当日販売ブースにて購入された方も割引対象)
※前売はローソンチケットにて発売中(Lコード:38137)

ほいじゃ、よろしくね〜。

人喰い映画祭 【満腹版】 ~腹八分目じゃ物足りない人のためのモンスター映画ガイド~

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