ぼくのアメコミはどこから

2020年07月04日

ツイッターで「#あなたのアメコミはどこから」というハッシュタグがまわってきて、自分のアメコミへの興味は何から始まったのだろうか? と考えた。はい、嘘書いた。考えるまでもなく、1978年創刊の『月刊スーパーマン』であることはわかっている。

月刊スーパーマン』は、スーパーマンを中心とするDCコミック──いわゆる“アメコミ”を日本語訳した定期刊行物だ。ちょうどこの年にリチャード・ドナー版の実写映画『スーパーマン』が公開されているので、その話題性を当て込んで創刊されたものと思われる。

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手放してしまった号をコツコツ買い戻している

 表紙にもバッチリ「DC」のマークが印刷されいることからわかるように、アメコミもう一方の雄であるマーベルのキャラクターは取り上げられていない。なのに、なぜかこの本の発行元は「マーベリック出版」という名前だったりする。これをぼくは創刊号から、最終号である24号まで欠かさず買い続けた。

 ぼくがスーパーマンバットマンはもちろん、ブラックライトニングみたいな超マイナーキャラまで大好きなくせに、スパイダーマンX-MEN、アイアンマンといったマーベルキャラにいまいち食指が動かないのは、高校時代にこの雑誌を通じてDCコミックを読みふけったせいなのは間違いない。

月刊スーパーマン』には読者のイラスト投稿コーナーがあって、ぼくはそこの常連投稿者だった。当時17~18歳。すでに漫画家になる夢は挫折していたけれど、イラストレーターになりたいと方針転換していたので、絵を描くことは続けていた。何より、好きなヒーローの絵を模写するのは単純に楽しかった。

 途中からイラスト投稿コーナーは「ミスターパレットのイラストコーナー」というタイトルになった。ミスターパレットというのは審査員の名前。「パレット賞」が最優秀賞で、毎号1人が選出される。その次が「優秀賞」で2人。以下、テクニック賞、レイアウト賞、ムード賞、パワー賞、ユニーク賞など細かい賞が並ぶ。ぼくの投稿が最初に掲載されたのは「パワー賞」だったかな。以後、絵を送るたびに載るようになって、優秀賞には2回ほど選ばれた。

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名前を間違えられるのはよくあること

 このコーナーでは、入賞するとアメコミが1冊もらえた。アメコミなんてどこで買えるのかわからなかった70年代の高校生にとって、これは賞金をもらうよりも嬉しかった。優秀賞に選ばれるともらえるアメコミは3冊になり、パレット賞は5冊ももらえた。結局、最後までパレット賞は獲れなかったが、商品のアメコミはなんだかんだで10冊ほどになった。

 で、これはツイッターでつぶやいたら軽くバズったのだが、常連投稿者の中には、当時18歳(同い年)の原哲夫くんがいた。ぼくは自分のデッサン力が未熟なのは自覚していたので、緻密な点描とか絵のアイデアで勝負をしていたが、原くん、いや若き日の原先生は、シンプルな描線ながらデッサンは正確で、この頃からすでに才能がにじみ出ているのがわかる。

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原哲夫先生の絵が載ってる18号では隣のページにぼくの絵も載っている