40 ゲーム書籍とマイブリッジと長岡秀星

2015年6月マ日
 マニタ書房では、80年代アイドルのドーナツ盤も売っているが、店主としてこれはどうも居心地がわるい。アイドルは好きだから(といっても80年代まで)みんなにも聴いてほしくて仕入れはじめたんだけど、安く仕入れられるのはどうしてもありきたりなアイドルのものばかりになる。マニタ書房だったらもっとマイナーなアイドル、変な歌手のレコードを置くべきなんだよな。でも、そうした珍盤は見つけると自分のコレクションにしちゃうから、店には出せない。
 古本コレクターでも古本屋はやれる! というのをマニタ書房では証明しているつもりだが、レコードコレクターはレコード屋はやれないのだろうか。

 

2015年6月ニ日
 先日、某所のブックオフに行ったら、ゲーム系書籍のかなり珍しいものを2冊見つけた。
 1冊目は『ゲームブック ザナドゥ/宮本 恒之』(JICC出版局/86年)。棚挿しされていて、背表紙を見た瞬間びっくり。さすがにこれが108円ってことはないだろうが、定価の半額だとしてもエライことだぞ……と、恐る恐る引き抜いたら販売価格9,500円。しっかりプレミアが付けられていた。

 で、もう1冊は『ロードランナー ファンブック―/福田史裕』(システムソフト/85年)。こちらも8,000円という十分すぎるプレミアが付いている。

 とはいえ、いまの相場からすればむしろ掘り出し価格なのかもしれない。ぼくがこの分野を集めていたら買ってもいい金額だ。しかし、古本屋としてこの金額では仕入れにならないので、手を出さなかった。
 ブックオフマニアにはよく知られる中野早稲田通り店、東中野店、江古田店といった支店はフランチャイズなので、店長の独断で値付けをしている関係でプレミア価格の商品も少なくない。だけど、今回見たのは直営店だったので、ちょっと驚いてしまった。以前、池袋店でも『MOTHER』の攻略本に9,000円台のプレ値が付いてるのを見たことがある。安さが売りだったブックフォウも、少しずつ変わりはじめてるのかもしれないね。

 

2015年6月タ日
 どこのご出身かは聞かなかったが、今日は(日本語を話せる)外国の方が取材に来られた。会話のリアクションがいつもと違った。『裸で覚えるゴルフ』を見せたら「これは現代のエドワード・マイブリッジだ!」と言って笑うし、マニタ書房の店名の由来を話すと「さっきまでホール&オーツを聴いてたよ」とくる。「チップの本」への反応もチップ文化の国から来たためか独特でおもしろかったな。

 

2015年6月シ日
 今年の1月にCS(衛星放送)の某番組から取材依頼があった。タレントさんが神保町を徘徊していて、ふと見かけた看板に惹かれて入店してくるという、街ブラロケでよくあるパターン。テレビの取材はなるべく受けないようにしているが、ぼくの好きなバンドがパーソナリティーだというので、例外的にOKした。
 が、あれから半年ほど経つのにいまだ返事がない。バンドに罪はないのでこれからも聴き続けるが、テレビの出演依頼はますます警戒してしまうよ。

 

2015年6月ヨ日
 エアブラシ・イラストのパイオニアである長岡秀星氏の訃報あり。
 氏がまだ本名の長岡秀三を名乗っていた頃、少年マガジンなどの巻頭グラビアで健筆を奮っていた。ぼくは35年くらい前に神保町を駆けずり回ってそれらの掲載誌を買い集め、グラビアを切り抜いてスクラップしていた。

 画風がどんどんスペイシーになるにつれ、ペンネームを「秀星」に変えたというのが中二感ありありだけど、でも、そこが愛おしいのだ。
 長岡秀星といえば宇宙──SFと、ディスコと、ボスコニアン! ぼくの中では全部つながっているのだ。先生、長い間お疲れ様でした。