いい本は、古書店の棚に挿してあっても背表紙から怪しげな雰囲気を発散しているから、すぐわかる。その良さの成分はだいたいがタイトルからくるものなんだけど、それだけではなくて、なんというかな、書体、色遣い、本の厚さ、版型、アイコン、まあいろいろあるわけだ。
この本は、まず『ビッグヒットは五感でつかめ!』というアジっぽいタイトルにちょっと引っかかった。ビジネスで成功し大金を稼いだ人が、己の半生を振り返りつつ最後は「お前らも稼いでみんかい!」と煽動する成金本(いずれ紹介するけど、そういう本は驚くほどたくさん存在する)の一種かと思ったのだ。
実際にはちょっと違ってて、映画『アメリ』を買い付けてきてビッグヒットにつなげた敏腕プロデューサーの、仕事術のような本なのだった。なるほどそれはそれでまあいいでしょう。でも、それだったら、わざわざ買ったりはしない。それなのに買ってしまったのは、なぜなのか?
こんな表紙だからです。
ビッグヒットは五感でつかめ!―何があってもめげない仕事術 「10年後なんて考えられない」という君へ
- 作者: 叶井俊太郎
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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ところで、映画の『アメリ』といえば、拾ったパスポート用写真をスクラップするエピソードがあるじゃんか。おれはあのシーンが好きでねえ。それ以来、町を歩いていてもパスポート写真機のそばを通ると、つい写真が落ちてないか探してしまうのだ(実際には落ちてやしないんだけど)。