首に縄をつけているのはどっちだ

みんなサッチー(野村沙知代)のこと嫌い? おれは好きなんだけどな。むしろミッチー(浅香光代)はうちのオフクロに似てるから苦手なんだ。そんなことはどうでもいいか。

刊行されたときに新聞広告で見て、その良すぎるタイトルに惹かれて読んでみたかったんだけど、例によって定価で買うのには抵抗があって、しばらく経ってから105円コーナーで見つけて買った。

女房はドーベルマン

女房はドーベルマン

もっとこうドーベルマンの生態について突っ込んで書いてあるのかと思ったけど、結局のところはノムさんの自伝なんだな。その点ではちょっと物足りなかった。でも、巻末の夫婦対談を読むと、なんだかんだいいながらもノムさんがサッチーに惚れてるのが垣間見えてくる。「やれやれ困った女房じゃわい」ってなポーズはとりながらも、離れられないんだよね。そういう意味では、この本は不器用な男が書いたラブレターなんだろう。

おれ、昔からドーベルマンを飼ってるひとを見るたび、「他にもっと可愛い犬がいるだろうに、なんであんなおっかないの飼うんだろう?」って疑問だったんだよ。でも、この本を読んでみてわかった。ドーベルマンを飼うひとはドーベルマンを飼ってるんじゃなくて、ドーベルマンに飼われてるんだよね。綱の端を握ってると思ったら、いつのまにか握られてるのは自分のほうだった、みたいなさ。愛ってひと筋縄じゃいかないもんなんだね。