一ツ橋学園の古本ユウムで鼻歌(春歌)を

昨晩は親類の通夜があって、西武多摩湖線の一ツ橋学園駅なんていうこれまで自分とはまったく縁のなかった土地まで行ってきた。駅を降り立ったら、いきなり駅前でブックオフを見つけて(ラッキー!)と思ったりもしたが、そんな気持ちは喪服のフトコロ奥にしまって通夜の会場へ急ぐ。今回は年老いた親の代理で来たようなものだから、故人と自分自身とはそう深い関係ではなく、来場者を見渡しても知ってる人なんか誰もいない。ああいう場に誰一人知り合いがいない状態で参加すると、キツいね。間が保たないよ。なので、香典を渡し、記帳し、焼香を済ませただけですぐにその場を後にした。
で、ブックオフ(一ツ橋学園店)へ。
サイズ的には中型店舗、つまりそこそこの広さで、恒例の105円コーナーもなかなかの在庫量。しかし、ひと通り背表紙をチェックしてみても何も買うものがない。DVDコーナーを覗いたら「8月31日で店じまいのため閉店セール」といったような張り紙があったので、人喰い映画で買い漏らしていているDVDがないかと探してみるが、こちらもとくに欲しいものはなし。もしかしたら、めぼしいものはもう売れてしまったのかもしれない。そもそもブックオフは掘り出し物的なものが期待できる場所ではないので、サーッと見て“ない”ときは“ない”のだ。粘っても無理。
あきらめて駅前へ戻る。あんまり暑いので、ビール1杯だけ飲んで帰ろうかと思って駅周辺を歩き回るが、よさそうな店もなし。今日は全然ツイてないなーと、腹を減らした井之頭五郎みたいな気持ちになってきたところで、「古本ユウム」という新しくできたっぽい古書店を発見。間口が広いけど奥行きはない、横に幅広く伸びた店。右手側にはカフェのようなスペースも見える。流行の古本カフェのようだ。

あとでネットで調べたら、吉祥寺や三鷹にあるブックステーションの系列店らしい。「ユウム」なんていうとゆうむはじめを連想して、オカルト専門書店かと思ってしまうが、そんなことはなく、ブックステーションを経営しているのが株式会社佑夢というんだね。
入店して真っ先に目を奪われたのは、保育社のカラーブックスが充実していることだった。とくに買いたいものはなかったけれど、カラーブックスを大事にしている店はいい店だ。これで一気にいい気分になった。その他の棚を見ていくと、人文系やサブカル系が充実している印象がある。宗教学、民族学の本もそこそこある。ピグミー族のど〜じん誌も1冊あったが、それはすでに持っているものだった。値段は、普通から若干高めかな。でも、それはおれがブックオフ慣れしているからそう感じるのであって、置いてある本のおもしろさからすれば、妥当な値付けだとは思う。
そんなこんなで楽しみながら棚を見ていって、オールドなエロ本が集められたコーナーでこんなのを発見。

『替歌百年/加田こうじ、柳田邦夫、吉田智恵男編』(1966/コダマプレス)
表紙にかなりスレがあって灰色にくすんでいるためか、たったの180円。でも、本そのものの状態は悪くない。オマケの春歌ソノシートもちゃんと付いていたしね。

こんなちっこいソノシート、いまさら聴く手立てはないけどな。
掲載されている替え歌は、なにしろ1966年(おれまだ5歳!)だから古い古い。唱歌とか、軍歌とか、民謡とか、俗曲とか、そんなんばっかりだ。「木遣りくづし」の替え歌とかいわれても、皆さん唄えないでしょう? でも、おれはかれこれ5年ばかし端唄を習ってるから普通に唄えてしまうんだなー(なんと無駄なスキル!)。
というわけで、今日もいい買い物ができました。