褐色のマリッジブルー

マリ共和国花嫁日記 日本女性、アフリカに嫁いで/ケイタ・慎子』(1980/徳間書店

マリ共和国って、墨田区に形が似てるところだよね? と、墨田区出身のおれにはそういう認識ぐらいしかないのだが、そんなアフリカのマリ共和国まではるばる日本から嫁にいっちゃった女性の手記が本書である。極端配偶者シリーズである。勝手に命名した。そういえば「お財布ケータイ」なんて言葉を聞くと、ついサリフ・ケイタのことを思い出してしまう。おれのアフリカ知識はその程度か!

というわけで著者名のケイタはご主人の姓だけど、サリフ・ケイタとは関係ない(と思う)。アフリカへ嫁ぐというと、きっとカルチャーギャップがありすぎて、「慎子さん、あんたのシマウマ料理はなんだい! こんなのケイタ家の味じゃないよ!」「お義母様ゆるして! 呪術は堪忍してちょうだい……!」みたいな、その苦労も並大抵ではないだろうなあ、と思うのだが、本書にはそんなことは一行も書かれておらず、おもに入国の苦労話が延々と続く。

まあね、なにかと政情が不安定な土地だからね、結婚するとはいってもビザひとつ発行してもらうのに大変な労力をともなって、日本とアフリカを何度も行ったり来たりさせられる。その辺りの事情を、慎子さんは嫁視点というよりも、ジャーナリスト的な視点で綴っている。そういう意味で、野次馬な興味を満足させるには物足りないが、とても勉強にはなる。ビバ・アフリカ。