快適、札幌ブックオフ仕入れツアー その6

9月28日、札幌に来て3度目の晩。初日に会って飲んだ友達Aから「また晩ごはん食べようよ」と誘いが来る。彼女(オンナのヒトなのでーす)の友人とイトコも今度は一緒だ。妙齢のご婦人3人に囲まれて、またまた夜のススキノに出掛けるおれなのだ(酒の話ばかりして古本屋めぐりの話はどうなったんだ! とお思いでしょうが、気にせずこの話を続けます)。

この彼女たちも、やっぱり「はるばる遠方から来てくれた友人をヘンな店に連れていっては道民としてうぐぐぐ……」と思ったようで、あれこれよさげな店をみつくろってくれるのだが、どこもイマひとつ決め手に欠ける。単におれが呑ン兵衛としてワガママなだけという気もするが、それでもやっぱりせっかくの札幌、いい時間を過ごしたいからね。

ジンギスカンは初日に食っちゃったし、海の幸はゆうべ堪能したし、ラーメンは飲んでからの方がいいよねー、カニは? カニってパッケージが強固で食べるのめんどくさいんだよね、おれ、めんどくさい食べ物苦手なの。ブドウすらめんどくさくて食う気しないもん……とかなんとかよくわかんない会話をしながら4人で歩く。それはそれで楽しいが、早く飲みたい。地元民といってもみんな女性だから、おれが好きそうなシブめの飲み屋は知らないんだよね。

で、ハッと思いついた。

昨日の暖簾、くぐっちゃおうぜ、と。


▲昨日の暖簾

余所者のおれが地元の皆さんを案内するというおかしなことになりながら、例の暖簾をくぐってみると、そこは予想以上に心安らぐ、酔っぱらいの桃源郷であった。

暖簾にあった「昭和二十一年創業」の文字をそのまま証明するように、年季の入ったカウンターは柄杓型に折れ曲がり、そこへ木製の椅子が点々と並んでいる。間口のわりに内部は意外な広さがあったけど、席はそれだけ。

そうなんだ、いい飲み屋は一人で行くものだからさ、テーブルとか要らないんだよね。テーブルがあるとグループ客が来るようになる。人は、大勢で飲むとテンションが上がるから、どうしたって店内が騒がしくなる。おれは騒がしいの苦手なので、こういうカウンターだけの店が落ち着くんだ。

と言いつつ、おれら4人はそのグループ客なわけですがー、カウンターの角に2+2で座ってわりとおとなしく飲みましたね。こういうシブい酒場には独自のルールがあるもんで、なるたけそれに従わなきゃならない。それとなーくまわりの様子を観察したり、ときには店員さんに正直に訊いたりなんかして、うまい焼き鳥と焼酎のウーロン割りを飲んだのだった。

その7に続く)