おかねもちのひとの本としてはギンギラギンさ加減に欠けるけど、タイトルがなかなかいいので買ってみた。例によって渋谷のブックオフ。値段は言うまでもなく。
- 作者: 進藤慈久
- 出版社/メーカー: 三修社
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 単行本
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この社長さんは、ヒルズ系の連中に較べれば地味だけど、なかなかたのしい側面を持っている。たとえば、落ちこぼれだったり不良だったりしたひとが一念発起して起業を、っていうのは珍しいことじゃないんだけど、このひとはバンドやってた関係から、人生の途中でビジュアル系のほうへ寄り道してるんだな。だから自分の若い頃の苦労話を語っている途中でいきなりこんな写真がバーンと出てきてしまう。
しかし、芸能界に入ったはいいものの、思うようにメジャーになれず、これまた苦労の連続を歩むことになる。で、紆余曲折を経て目が覚めて、身の回りにまとっていた虚飾を削ぎ落として、ようやくビジネスの道へ入る。このときは、まるで憑き物が落ちたようにこんな笑顔になる。
まるで紙芝居のようにスパーッと切り替わるのがすごいね。やっぱ成功するにはこういう変わり身の早さが必要なんだろうなあ。それと、ビジネスのやり方は堀江貴文氏から、宝石の売り方は羽賀研二氏から、それぞれ学んでいるというのも素敵だ。ひとを見る目が(逆に)ある。
そしてそして、地味ながらも見所の多い本書であったが、最後の最後にものすごいオチが待っていた。高卒で会社を興したこの社長、自分の過去を恥じるのではなく、そうした過去があったからこそいまの成功があるのだと、そういう思いを込めてこの本に『高卒社長』というタイトルを付けたのだと思ったら……本当に社名が「有限会社 高卒社長」なのだった。え──!?