『ウォッチメン』見てきたぜー。いやこれはすごかった。驚くべき映画体験だった。まだ3月も終わってないのに、今年度おれ的ベストワンが有力視されていた『イケメンバンク』をブチ抜いて『ウォッチメン』が暫定一位の座についたね(ウケようと思ってすぐそういうこと言う)。 でも、それぐらいよかったんだー。このまま年末まで1位をキープできるだろうか。入れ替わる可能性があるとしたら、5月公開のJJ版『スタートレック』かなー。*1
さて、『ウォッチメン』ってのは、なかなか批評のしにくい作品である。ヒーロー映画の体裁をとりながら『ダークナイト』が一筋縄ではいかなかったとするならば、『ウォッチメン』は二筋縄も三筋縄もいかない映画だ。「ヒーローが現実にいた世界」とはいうものの、それをいうならクリストファー・リーヴ版『スーパーマン』だって、マイケル・キートン版『バットマン』だって、その世界観のなかでは実際にいたわけだし、かといって現実の物理法則だけでヒーローごっこをしているのかといえば、そこから飛び出た存在(Dr.マンハッタン)も混ざっている。全裸の青い男が火星で空中浮遊することと、羽根のついたヒーロースーツの男が精神病院に容れられることとが共存している世界はとても興味深い。
現実世界とヒーローとのリンクを意図的にやってみせた最初は、1978年にニール・アダムスが描いた『スーパーマン対モハメッド・アリ』じゃないかと思う。
『月刊スーパーマン』(マーベリック出版)を創刊から愛読していて、Mr.パレットの似顔絵コーナーの常連投稿者だった程度にはアメコミマニアのおれも、この本が出たときには本当に驚いた。自分が生きている世界にスーパーマンがやってきた感じが本当にした。そして『ウォッチメン』を観ていたらあの頃の感覚がよみがえってきた。『スーパーマン対モハメッド・アリ』を初めて手にしたときのムズムズする感じが。
いまはもうアメコミから離れてしまったので、『ウォッチメン』の原作も読んではいないのだが、今回の映画版は圧倒的な情報量の原作をかなり忠実に再現している、との評判通り、濃密な映像づくりがなされていた。それは原作を読んでいない身でも十分に伺える。とはいえ、やはり原作知らずの立場では映画が表現していたことの半分も理解しきれてないだろうなあ、という自覚もある。このあたりは、DVDが出て見返すときのお楽しみとしておこう。
あっ、追いきれない情報量のなかでかろうじて心に刻んでおいたのが2点ほど。ひとつは長い灰。先に見ていた友達がみんな「長い灰あったよ!」って言っていたので、すぐわかった。死人の指に煙草が挟まっていて、まだ殺されてからそれほど時間が経っていないことを表すシーン。これは後日、DVD を画面撮りするか友人を通じてムニャムニャするかしてコレクションに加える。
あと、ナイトオウルがアーチー号でエッチするときに「空中セックスボタン」を押したのが衝撃的だった。何そのボタン! いや、自動操縦ボタンなんだろうとは思うけど、なんかボタンのマークがピンクのハートだったんだよ。気のせいだろうか? 誰か確認プリーズ。
追記:早速判明。
http://d.hatena.ne.jp/S2D2/20090331/p1
しかし、ハートマークでなくて「山」か「雲」だったとしても、なぜそれが自動操縦のボタントップに描かれているのかは謎。案外、監督は何も考えていなかったりするのかもね。
*1:『スラムドッグ$ミリオネア』のことを忘れてた。もちろん『おっぱいバレー』だって観にいくさ。楽しみだなあコンチクショー!