水木しげる先生の米寿を記念して、銀座松屋で開催されている「ゲゲゲ展」を見てきた。行ったのが初日であり、しかもいまNHKの朝ドラが絶好調なこともあって、ものすごい人出。会場内は水木ファンで寿司詰め状態だったよ。入場料が大人1000円というのも値頃でよかったのかもしれない。水木作品の原画が1000円で見られるなら安いもんだよなー。
水木プロダクションの2大アシスタントとして知られるつげ義春、池上遼一。この二人の作風から、水木漫画のあの緻密な背景は二人によるものと思っている人も多い(おれも最近までそう思ってた!)。でも、実際にはあの二人がアシスタントに来る前から、水木先生の漫画って背景のクオリティが半端なかったらしい。実写ドラマ版『悪魔くん』のヒットで仕事量が一気に増え、プロダクション化してからは背景はほとんどアシスタントに任せるようになったという。その際に、背景描写のテクをアシスタントに叩き込んで、自分と同レベルか、ときにはそれ以上のものを描かせていたんだそうだ。
ゲゲゲ展の会場に展示してある原画の背景が、水木先生自身が描いたものなのか、つげさんによるものなのか、池上さんによるものなのか、あるいはさらにその後のアシスタントが描いたものなのか、それはわからない。点々は菅ちゃんが打ったものなのか、それもわからない。でも、とにかく必見だ。いくらアシスタントと分業していたとはいえ、あの激務のなかで描かれたとはにわかに信じがたい密度の背景画に、思わず息を呑む。墨汁に込められた本物の迫力に畏れおののく。
とにかく展示されているすべての原画に「ゲゲゲ!」と驚嘆させられる展覧会なのだが、いちばん「ゲゲゲッ!」と驚かされたのは、展覧会場を出てすぐのところにあるラルフ・ローレンのショップに陳列されていたご婦人用のサマーニットだった。
どこの奥様が着るんだろう。すげえデザインだなあ。