芸術のためなら脱ぐ!(そうでなくても脱ぐ!)

たとえおもしろくても、なるべく手を出さないようにしている本、というのがいくつかある。

たとえばそれは「宗教の本」や「トンデモ本」と呼ばれるものだ。これらは追求しはじめるとキリがないし、すでに専門に研究している人たちが大勢いるわけで、いまさら自分が参入しようとは思わない。

あるいは「タレント本」や「ミュージシャンの本」。これらにも、おもしろいものはたくさんあるのだが、やはり積極的には手を出したくない。「タレント本」というのはおもしろさがわかりやすくて刺激が薄いということもあるが、それ以前にこの分野には吉田豪というものすごい研究家がいるのだ。そんなところへ無謀な戦いを挑む勇気は、ぼくにはないよ。

さて、これらの書籍と近いポジションにありながらも、微妙につかみどころがなくて扱いに困ってしまうものに、「芸術家の本」というやつがある。……いや、芸術家の本というか、本そのものが「芸術作品」というか、まあ、ようするにこんなような本のことだ。

お嬢さん 全裸ですよっ―裸体表現第二のジェンダー

お嬢さん 全裸ですよっ―裸体表現第二のジェンダー

これはね、たしか自由が丘のブックオフで買ったんだっけかな。もちろん105円。

以前、紹介した『女医マヤのセクシー心理学』は、タイトルに惹かれて手に取り、表紙を見たらガッカリ、というパターンだったが、こちらは『お嬢さん全裸ですよっ』というタイトルに惹かれて表紙を見たら、予想以上に狂っていた、というパターン。もちろん速攻で買い物カゴへ入れた。

あ、言っておくけど、この表紙の人は“お嬢さん”ではないよ。齢三十半ばと見られる男性の芸術家である。やけに肌が白くて微妙にムチッとした柔肌のおっさんが、衣服を脱ぎ捨て、「そこのお嬢さん、わたしの裸を見てちょうだい!」と叫んでいる。こんなポーズで。どうかしてるよね。でも芸術だから仕方ない。

こういう本こそが、ぼくの買うべき本なのだった。