ラーメンの殉教者

 今回紹介する本は、西川口ブックオフでの収穫。例によって105円コーナー。そこで見つけたのがこの本だ。


『超凄いラーメン/武内伸』(潮出版

 TVチャンピオン2代目ラーメン王にして、つい先日、残念ながら肝硬変で亡くなられた武内伸さんの半自伝だ。

 この人は生前から「日本一ラーメンを食べた」と豪語しており、生涯トータルで4000杯だか5000杯だか食べている。肝臓に不調が出たとき、医者から「どんな食生活しているの?」と聞かれて正直に「三食ラーメンです」って答えたとか、スープは一滴も残さず飲む主義だったとか、友人から「ラーメンばかりだと栄養がかたよって体によくないよ?」と言われて「だから栄養がかたよらないように、いろんな店で、いろんなラーメンを食べているのだ」と答えたとか、いやもう天国行き超特急に乗ってるとしか思えない豪快発言が山ほどある。

 彼のそんな食生活を見て、愚かだと断じるのは簡単なことだ。でも、それを笑える人がどれだけいるだろう。ラーメンばかり食べていたら体を壊す、なんてことは武内さん自身だって重々わかっていたはずだ。それでもやめられなかった。というか、そもそもやめるつもりがなかったのだろう。いわばラーメンという海に身を投じたようなものだ。

 そう思って表紙を見てみよう。

ターミネーター2』のラストで、金属製のマシーンが溶鉱炉の中へ還っていったように、ラーメン王もまたラーメン丼の中に還っていくように見えるではないか。

 さあ、みんな好きなラーメンを手に持って、超凄いラーメン王に乾杯しよう。ガキーン(丼と丼をぶつけ合いながら)。