浮かれ者の必須アイテム、年号メガネの世界

我が国ではほとんど見かけることはないが、アメリカでは非常にポピュラーな習慣のひとつに「year-shaped glasses」というものがある。日本にない習慣だから、それに相当する日本語はないのだが、あえて和訳すれば「年号メガネ」ということになる。どういうものかというと、新年を迎えるときにタイムズスクエアかなんかでカウントダウンしてる連中がかけている“浮かれメガネ”のことだ。

新しい収集ジャンルを見つけたときに、まずコレクターがするのは、そのルーツを探ることだ。いちばん手っ取り早い方法としては、ネットで画像を検索してみるのがいい。しかし、使い捨て商品だからか、なかなかネットにも画像がなくて、調べた中ではこの1997年をかたどったやつが最古のものだった。

こうしたアイテムが、いつから作られるようになったのかはわからないが、メガネ部分に2つの○が並ぶ必要があるので、1990年か、それ以降と考えるのが妥当だろう。まさか1880年ってことはないよな。

このコレクションは、画像だけに限ってやっている。つまりエアコレクションだ。出来ることなら現物をコレクションしていきたいところだが、なにしろ日本では簡単に手に入らないんでね。ネットで拾った画像で我慢してるのだ。

画像を検索するのは、意外と簡単じゃない。 アメリカでも正式名称はとくに決まっていないようで、「year-shaped glasses」だけではそう多くは見つからない。そのため、他にも可能性のありそうな「yearly glass」とか「anniversary glass」とか、思い当たる単語をいろいろと検索にかけて探している。

年号メガネ単体の写真もあるけれど、やはり集めていておもしろいのは、こうした年号メガネをかけているバカも一緒に写っている写真だ。なにしろハッピーニューイヤーで浮かれているからね。顔が弛緩しきっているのだよ。

 

ところで、これらの写真を集めていく過程で、もうひとつの事実にも気がついた。

それは、年号メガネは新年のカウントダウンだけで使われるものではない、ということだ。一年のうちには、新年以外にも、年度を祝うイベントがもうひとつある。

大学の卒業式だ。

バカ田大学の卒業生にしか見えないが、本人たちは真剣そのものである。

さて、このように年号メガネコレクションをしているおれなのだが、ひとつ心配事があった。

来年はどうなっちゃうのか、ということだ。

振り返ってみれば、年号メガネにとって、真ん中に○が2つ並ぶ1990年代は、とても幸福な10年間だったと思う。そして、文字通りゼロが2つ並ぶ2000年代は、さらに幸福な10年間だったと思う。

そんな幸福な時代も、2010で終焉を迎えるかと思われた。だって、真ん中の「00」が崩れちゃうもんな。ところが、年号メガネデザイナーの機転で、その危機は回避された。

こうすればよいからだ。

1は鼻筋! 考えたもんだねえ。これなら違和感なく年号メガネが成立しているじゃないか。

だが、もうダメだ。今年は2011年なのだ。0が1個しかないのだ。もう年号メガネは作れない。おれのコレクションは終わってしまうのだ。

泣きながら、しかしダメもとで検索してみたおれのうるんだ瞳に、こんな画像が飛び込んできた。

結局、なんでもいいのかよ!

皆さん、明けましておめでとうございます。2011年も蒐集原人と、とみさわ昭仁をよろしくお願いいたします。