沖縄本島ブックオフ支店全制覇ツアー その7

ダム行って、ブックオフ2軒まわって、宅配便送って、レンタカー返却して、ホッとしたところでまだ昼めしを食ってなかったことに気がついた。よーし、肉だ、肉だ、ステーキ食うどー! 旭橋駅から徒歩5分、1953年創業の老舗「ジャッキー ステーキハウス」で血と脂のしたたる肉とワインにありついた。

ところで、この旅をしているあいだ、ひとつ心をくだいていることがあった。それは、「できるだけ人からのアドバイスを受けないようにすること」だ。もちろん、旅していることを秘密にしておけば、誰からもアドバイスは来ない。でも、やっぱり旅先で見かけたアレヤコレヤをみんなに見せて笑ってほしいから、つい居場所をツイッターなんかでつぶやくことになる。すると、その土地に詳しい人たちからあれこれとアドバイスが届くのだ。

「○○○に美味しいタコスの店がありますよ!」
「ステーキなら△△△がおすすめ!」
「辻だったらナース女学園の○○○嬢が最高!」

みたいなね。こういうのはすべて皆さん親切で教えてくださるわけで、そのことはとてもありがたいと思う。素直にこれに従えば、無駄に時間を使ったり、無闇に歩き回ったりすることもなく、効率的で快適な旅ができるのだとも思う。

でも、おれにはそれがいいとは思えないんだ。だから、今回の沖縄旅行では、早いタイミングでその旨(アドバイス無用)を宣言しておいた。

おれがなぜ旅行中に他者からのアドバイスを拒むのか。それは、旅の時間をすべて自分のために使いたいから、だ。アドバイスを受けてしまうと、どうしても「そこに行かなきゃ」って気持ちになる。いや、アドバイスをくれた方はそんな強制するつもりで言ったのではないことはわかる。わかってるけど、言葉には呪いがあるから、一度それを聞いてしまうと心の隅にずっと残ってしまう。そして、アドバイスに従わない自分を苦しめる。

じゃあ、素直にアドバイスを聞けばいいじゃん、ってことになるのだが、そうはいかない。だって、これは自分の旅なんだから。

誰かからおいしい店の情報を教えてもらい、それに従ったとしよう。でも、味覚なんて人それぞれだから(とくにおれは味覚がおかしい)、自分の口には合わないなんてことはよくある。それで「どうでした?」なんて訊かれてごらんなさい。答えようがありませんよ。仮にすごくおいしかったとしても、もうその瞬間から、その旅は自分のものではなくなってしまう。「ハイウェイ食堂」は人からのアドバイスに従ったけど、あれはたまたまホテルの近くだったからで、そうでなければやっぱり無視しただろうな。

たとえ道に迷っても、ヘンな店に入ってしまって、ウンコみたいなもんを食わされても、そのために費やした時間は紛れもなく自分の旅の思い出だ。日常生活や、仕事の現場では効率を重視するのも大切だけど、旅先ではそういう時間の過ごし方をしたい。そういう点で、ここまでの沖縄旅行は、多少の遠回りはしつつも、ハズレどころかアタリばかりを引き当てるという幸運が続いている。たとえステーキが思ったより小さくても、だ!

肉を食ったら一度ホテルに帰り、夜はふたたび「おもろまち」へ出る。ここのシネコン「CINEMAS Q」で公開中の『ダイハード/ラストデイ』を見るのだ。これは計画外。まさか沖縄滞在中に2本も映画を見ることになるとはなー。

その8へ続く)