「アーカイブック」という言葉を提唱しようと思う。どういう意味かというと、「何らかのコレクションをまとめた書物」、あるいは「何らかの蒐集家がコレクションについて書いた書物」のことだ。アーカイブ+ブックでアーカイブック。
『フリースタイル』という雑誌がある。ほぼ季刊くらいのペースで発行されているこの雑誌に「One, Two, Three!」というコーナーがあって、数人のライター、作家、編集者らが気になるポップカルチャー(小説、漫画、映画、演劇、音楽などなんでもよい)を3つ選んで紹介するというものだ。
その執筆陣にぼくも加えてもらっているのだが、ぼくはそこへさらに自分なりの縛りを設けてセレクトしている。それが「アーカイブ物かどうか?」ということだ。ま、例外はあるが、できる限り何かを集めた作品を取り上げるよう務めている。なぜそんな面倒臭いことをしているのかといえば、そりゃぼくがコレクター大好き! だからだ。これは拙著『無限の本棚』のあとがきでも書いたことだが、昔からコレクターが出版した本は手当たり次第に買ってきた。いまでも書店でその手の本を見かけるとつい手に取ってしまう。そして、そういうものが日々自分のデスク周りに積み上がっていく。ならば、この分野の年間ベストを決めるのも楽しそうだな、と思った。そんなことができるのは、ぼくくらいのものだろうとも。
- 作者: とみさわ昭仁
- 出版社/メーカー: 株式会社アスペクト
- 発売日: 2016/03/23
- メディア: Kindle版
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というわけで、2016年のベスト・オブ・アーカイブックを発表……する前に、ここで去年(2015年)のアーカイブックを振り返ってみたい。本当はこの企画は去年からスタートしようと思ってたんだよね。でも、いろいろ雑事に追われているうちに年を越しちゃったので、そのまま放ったらかしにしていた。それで、ようやくいまになって重い腰を上げたというわけだ。
もったいぶらずにスパーンと発表する。ベスト・オブ・アーカイブック2015!
- 1979年の歌謡曲(スージー鈴木/彩流社/10月20日発売)
痴女の誕生(安田理央/太田出版/4月1日発売)- 神戸、書いてどうなるのか(安田謙一/ぴあ/12月1日発売)
- ニッポン大音頭時代(大石始/河出書房新社/7月24日発売)
- デスメタル アフリカ(ハマザキカク/パブリブ/10月1日発売)
- 暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」(上野顕太郎/扶桑社/7月31日発売)
- ワンコイン古着(中嶋大介/本の雑誌社/11月24日発売)
- 古本屋ツアー・イン・首都圏沿線(小山力也/本の雑誌社/10月22日発売)
- ヘンな本大全(風来堂、他/洋泉社/3月4日発売)
- 本で床は抜けるのか(西牟田靖/本の雑誌社/3月10日発売)
※うっかり『痴女の誕生』を入れちゃったけど、これ2016年でしたね。
- 作者: スージー鈴木
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2015/10/20
- メディア: 単行本
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- 作者: 安田謙一
- 出版社/メーカー: ぴあ
- 発売日: 2015/11/26
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4位以下にも素晴らしいアーカイブックが集まった。『デスメタル アフリカ』が話題を集めたのはまだ記憶に新しい。“古ツアさん”こと古本屋ツアー・イン・ジャパンの小山力也氏の快進撃もあって、とくにコレクター向け書籍を専門にしているわけでもない本の雑誌社の本が3冊もランクインしたのはおもしろい結果だった。
というわけで、「ベスト・オブ・アーカイブック2016」の発表は、12月29日となる予定。