3月に見た映画と震災のこと

  1. クロエ(3/1 六本木アスミックエース試写室)★★★★
    • 傑作。亭主の浮気を疑う妻が、探りを入れる為に娼婦を雇う。だが、その娼婦が暴走し始めて……。
    • トラブル解消のためにカタギがヤクザに仕事を頼んだら逆に骨までしゃぶられました、みたいな話。
  2. CRAZY-ISM(3/2 新宿サムライシアター試写室)★★★
    • 若手俳優中心の低予算密室劇なので過剰な期待は無用。とはいえ、誰が生き残るのか最後まで興味を引っ張り続ける力のある良作。
    • レザボアドッグス+ウシジマくん的な味わい。
  3. 月に囚われた男(3/2 DVD)★★★
    • 自分と卓球する恐ろしさよ。
  4. ドリーム・ホーム(3/3 新宿サムライシアター試写室)★★★★
    • 香港産の女殺人鬼もの。あの手この手の惨殺アラカルトに息つく暇なし。
  5. 雲がちぎれる時(3/6 渋谷シネマヴェーラ 五所平之助特集)★★★★
    • 五所平之助の大傑作。
    • 1961年の映画をネタバレしても誰も怒らないと思うんだけど、昭和に生きる男女の切ない恋心を詩情たっぷりに描いた“恐怖の報酬”。
  6. (3/6 渋谷シネマヴェーラ 五所平之助特集)★★★
    • 『雲がちぎれる時』とは一転して、森繁、伴淳、三国連太郎というちょっと変わったトリオによる金玉取り合いコメディ。
  7. サンクタム(3/7 月島ブロードメディアスタジオ試写室)★★★
    • J.キャメロンのプロデュースによる洞窟探検3D映画。
    • おれ閉所恐怖症なので普通の人より3割増ぐらいでスリリングだった。おすすめ!
  8. ビッチスラップ(3/8 DVD)★★★★
    • 時間軸いじりすぎだけどおもろいから許す。
    • 乳がたわわに揺れる様をじっくり見せるためだけにスローモーションを使う思い切りのよさに降参。
  9. シークレット・ウィンドウ(3/8 DVD)★★
    • ディカプリオのあれとだいたい同じ話。
  10. 柔道龍虎房(3/19 渋谷シネマヴェーラ ジョニー・トー特集)★★★★★
    • トーさんが黒澤にリスペクトを捧げた珍品香港柔道映画。
    • 蔡一智(カルバン・チョイ)が唄う「姿三四郎」が最高。
  11. エレクション(3/19 渋谷シネマヴェーラ ジョニー・トー特集)★★★★
    • 先に見た「柔道龍虎房」が凄すぎたので分が悪いが、こちらもかなりのもの。
    • マフィアの抗争を描いていながら、銃撃戦が一切出て来ないのは特筆に値する。
  12. マイク・ザ・ウィザード(3/20 VHS)★★★★★
    • ただ良いもの(映画)を作りたいだけの青年が数々の苦難を乗り越えてゆく映画。そよ風みかん先生と一緒に鑑賞。将来はもの(漫画)を作っていきたいと思っている娘の心にも響いてくれただろうか。父は、何度見ても完成した映画が上映されるクライマックスで泣きそうになる。
  13. トゥルー・グリット(3/23 新宿武蔵野館)★★★★
    • 父の復讐に旅立つ14歳の可愛らしいお嬢さん。ラスト、25年後の姿に客席の椅子でズルッとなった。
    • J.ブリッジスはアル中ガンマンを見事に好演。M.デイモンは別に彼じゃなくてもよかった役だな。
  14. アジャストメント(3/23 半蔵門 東宝東和試写室)★★★
    • 運命修正省の陰謀に気づいたM.デイモンが、失われた愛を取り戻すため、どこでもドアを駆使して戦いを挑む。
    • P.K.ディック原作の映画は珍品が多いけど、これも相当ヘンな映画だった!
  15. 共喰山(3/23 渋谷 リレーションズ試写室)★★★
    • 山奥へキャンプに来た男女六人。謎の池で泳いだらヒルだらけ。その晩、女の子の一人が人喰い化して……。いろんな伏線を全部放り出して無理矢理決着をつける強引なシナリオに呆れながら逆に絶賛。
    • ちなみに共喰いはしていなかったので、共喰山というよりは人喰山。
  16. アンノウン(3/30 内幸町 ワーナーブラザーズ試写室)★★★★★
    • 旅先でトラブルに巻き込まれ自己を証明できなくなったリーアム・ニーソン。シナリオ構成の関係上、詳しく説明できないが、『フランティック』にも匹敵する一級のサスペンス。一瞬も目が離せない。必見。

以上、3月に見たのは16本。幸いなことに自分は震災による直接の被害は受けなかったけれど、公開予定の映画や試写を予定していたものがいくつか延期、もしくは中止になった。残念だなと思う気持ちと、やむを得ないと思う気持ちと、両方ある。被害の大きかった地域では、まったく映画どころじゃない状況に置かれている方々もたくさんおいででしょう。心よりお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く、かつての生活を取り戻されることを祈っています。

「映画野郎」サイトで連載していた「大災害映画祭」は、さすがにこの時期に更新したらド顰蹙まちがいなしのテーマなので、しばらくの間は自粛しています。ただ、自然災害を扱った映画にはわたし自身、強く思うところもあるので、エキサイトレビュー(3月16日)でこのような原稿を書かせていただきました。一読いただけると幸いです。