オールタイム・ベスト10

 もっとマメにブログを更新しなければと思いつつ、日々の仕事や飲酒に追われて、ついついサボっておりました。なにしろフリーライター業の他に古本屋もやっているし、天気がよければ昼飲みにも出かけなきゃいけないから、忙しくてしゃあない。どうしたって、ブログの更新は後回しになってしまいますわな。

 先日、洋泉社から映画秘宝exとして『オールタイム・ベスト10 究極決定版』というMOOKが発売されました。表紙には「超豪華150名の映画狂が爆選!」とある。そんな彼ら、彼女らが選んだ生涯ベスト10の映画を集計して、1位から30位までを巻頭に掲載してあるのだが、これが如実に「映画秘宝」のテイストをあらわしていておもしろい。

 このMOOKでは、ぼくも「人喰い映画傑作選」という原稿を書いているので、ぜひ読んでほしいのだけど、そのコラムはあくまでも「人喰い映画」というジャンル限定で10作を選んだものであって、ぼくのオールタイム・ベスト10とはなっていない。それで、ぼくの個人的なオールタイム・ベスト10はこのブログで発表しておこうと思った次第。

 というわけで、遅ればせながら以下に並べておきます。ぼくがコトあるごとに見返す、生涯この10本。

■1位『ツイスター』(1996)

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 最初は、CGで描かれた竜巻の迫力に圧倒されただけで、そのうち(CG慣れしてきたら)飽きるかもしれないなー、と思っていたけど全然飽きない。20年経ってもウシが飛ぶところとか最高。ぼくが映画に求める快楽が全部ある。人からどんだけ笑われても、この映画を愛す。

■2位『ガキ帝国』(1981)

 監督に対しては色々思うところもあるが、この映画のガキどもの輝きはいまも変わらない。ラスト、昔の喧嘩友達だったポパイが機動隊員になっているのを見かけたリュウ趙方豪)が、つい懐かしくて声をかけたところ、ポパイは「逮捕したろか?」と冗談交じりに権力を振りかざす。カッとなったリュウは思わずポパイをぶん殴ってしまい、おかげで機動隊員たちに追いかけ回される羽目に。ぼくはこの場面を見返すたびに、自分はいまどっちにいるか、を確認するのだ。

■3位『宇宙戦争』(2005)

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 長いあいだ怪獣映画の魅力がわからなかったぼくに、その楽しさを教えてくれた作品。

■4位『エイリアン』(1979)

 映画公開前に、待ちきれなくて買ってしまったノベライズ・コミックスを読んで、エイリアンの造形からストーリー展開、そしてラストのオチまで全部知ってしまってもなお、劇場で見た“それ”に震えあがった。シリーズ全部好きだけど、やっぱりこの1作目が最高。

■5位『プレデター』(1987)

 プレデターはサンマとか食べるの上手そうよね。

■6位『座頭市』(1989)

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 勝新本人の監督による座頭市。時代劇というよりウエスタン寄りの演出が気持ちいい。冒頭、牢屋の場面で市が床にこぼした味噌汁をかがんで口つけて吸うところが好き。あとはぶった切った鼻が柱にへばりついてヒヨヒヨ〜と落ちていくところ。勝新監督はディテールの描写が本当にうまい。

■7位『ジョーズ』(1975)

 いまさら言うまでもなくモンスター映画の大傑作。これがなかったら、ぼくは人喰い映画を研究しようなんて思わなかったかもしれない。海上で夜明かしをするとき、主演の3人がサメにやられた傷自慢をするシーンが大好き。

■8位『マイク・ザ・ウィザード』(1989)

 何かを作っていて、自分の才能に自信を失いそうになったとき、いつも見返す映画。ラスト10分、劇中映画として流れるショートフィルム『The Wizard of Speed and Time』は、涙なくしては見られない。ジトロフが仕込んだ秘密のメッセージを見つけるためにコマ送りは必須。

■9位『狂い咲きサンダーロード』(1980)

 暴走族のネーミングが「魔墓狼死」っていう時点で全面降伏。「やってやろうじゃねぇの!」と「でもやるんだよ!」があれば生きていける。

■10位『一杯のかけそば』(1992)

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 ぼくにとって渡瀬恒彦といえば、これ。笑いごとじゃない。本当に素晴らしいんだ。まさかのアニメオープニングからのタラちゃん。タラちゃんからのピン子。過去に人を殺してそうな蕎麦屋の恒彦。革ジャン着てるだけで“ROCK”と呼ばれる青年。この映画がどれだけ最高かは、今後も機会あるたびに語っていきたい。