2001年リアル初版探しの旅

山田悠介大先生の『リアル鬼ごっこ』というホラー小説がある。唖然とする設定と規格外の文章力がいろんな意味で話題を呼んで、どうしたわけか30万部を超えるベストセラーとなり、あろうことか映画化までされてしまった。その破壊力を味わってみたいのなら、現在は幻冬舎から文庫が出ているので、それを入手するのが手っ取り早いだろう。これまで自分が受けてきた国語教育が間違っていたのでは? と思わされる衝撃に満ちている。

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

だが、本当はこれでは甘いのだ。

幻冬舎の文庫版は、すでにベストセラーになってから刊行されたものだから、かなり文章に修正が加えられている。山田先生の純粋と書いてピュアと読む才能のきらめきを味わうためには、オリジナル版を手に入れなければダメなのだ。

先生が『リアル鬼ごっこ』を世に送り出したのは、2001年の11月だ。自費出版で有名な文芸社から、四六判ソフトカバーで刊行されている。それこそブックオフあたりへ行けば、たいていどこの支店にも1冊はあるだろう。パラパラと立ち読みするだけで、ひざから崩れ落ちそうになること請け合いだ。

だが、山田先生をナメてはいけない。『リアル鬼ごっこ』は、文芸社で刊行されていた時点からすでにベストセラーとなっていたため、いま古書店の店頭にあるものの大半は、重版がかかって以降のものなのだ。

おれもまだ5刷までしか遡って見たことはないが、文芸社版『リアル鬼ごっこ』の初版──すなわち編集者の手で汚されていない山田先生の輝ける才能の原石は、それはそれは眩しく、神々しい、という噂だ。たったの1000部しか存在しないそれを手に入れるまで、おれのブックオフ巡りの旅は続く。

参考リンク:あえて山田悠介をリスペクトしてみる